
AIで挑む千代田区立図書館②|Deep Researchプロンプト3本公開・稟議突破・説明会前ドラフト戦略
千代田区立図書館5館の指定管理公募シリーズ第2回。現指定管理者の圧倒的な強さに直面しながらも前進するヤマザキが、図書館業界リスキリング用Deep Researchプロンプトなどなど、実際に使用したプロンプトを3本を完全公開。NotebookLMスライドを使った社内稟議突破術とAI時代の新戦略「説明会前ドラフト完成」の全手順を解説。PFI事業者にも必見。
公開日2026/04/10
目次
AIで挑む、千代田区立図書館(5館)の指定管理者公募。②深掘りリサーチ&社内稟議突破編
リサーチが進むほど、現指定管理者の「あっぱれな運営」だけが浮かび上がってきた。それでも前に進む理由と、AI時代の新戦略「説明会前ドラフト完成」の全手順を公開します。
「よし、やろう」の直前で、ヤマザキは黙り込んだ
前回記事(①事前リサーチ編)の最後、こう書きました。
「提案書は出すことで機会が生まれる。まずは参加できる状態をつくろう。」
あの言葉に、嘘はありません。
でも、正直に言います。
NotebookLMへの情報投入を終えた夜。AIが整理してくれた現指定管理者の実績を眺めながら、しばらく黙り込みました。
5館をまたぐ連携プログラム。研究者・ビジネスパーソン・子育て世代それぞれへの丁寧なサービス設計。日比谷図書文化館では年間55万人超の入館者を維持しながら、モニタリング評価も高水準。
「……これ、普通に強すぎる。」
攻めどころが、全く見つからない。
こんな状況、普通なら撤退案件です。現場でコンペをやってきた人間ならわかるはず。「採れない案件には入らない」——それが鉄則です。
事業判断として考えれば、ここで撤退が正解とヤマザキは思います。
とはいえ、今回の主眼は、AIがどこまで難関案件に通用するかの可能性調査です。
ということで、ヤマザキはこのまま、前に進みます。
この記事でわかること
- ヤマザキが直面した「図書館業界の知識アップデート」をAIで解決するリサーチ手順とDeep Research専用プロンプト3本
- なぜリサーチを重ねるほど「現指定管理者の強さ」が浮かび上がるのか、その構造的な理由
- 「リサーチのやりすぎ」が逆効果になる理由と、情報量の適切な設計
- NotebookLMのスライド機能を使った社内稟議突破資料の作り方とプロンプト
- 説明会前にドラフトを完成させる——AI時代の新しい提案プロセスの全体像
- JVパートナー獲得にもドラフトが武器になる理由
①まず、図書館業界をリスキリングするところから始めた
前回のリサーチを終えた後、AIが出力した資料や施設のHPをあらためて読み込みました。そこで痛感したこと、その一。
「図書館業界の最新知識を、アップデートしなければ。」
過去に図書館案件の事業計画書をご支援した経験はあります。ただ、少し昔の話。図書館を取り巻く環境は、この数年で大きく変わっています。
デジタルシフト、電子書籍の普及、「第三の場所」としての図書館の再定義——これらを自分の言葉で語れる状態にしておかないと、提案の中身が時代遅れになってしまう。まさに現代版リスキリングです。
国立国会図書館のデジタルシフト。公共図書館への電子書籍導入の急速な普及。フィンランドのOodiに代表される「第三の場所」型図書館の台頭——これらを押さえていないと、事業計画書の提案内容が「5年前の話」になってしまう。
そこで投入したのが、Deep Research専用の業界トレンドプロンプトです。
# 指示
あなたは公共図書館の経営・政策・空間設計に精通した、
国際的な見地を持つ図書館コンサルタントです。
これから東京都千代田区立図書館(5館一括)の指定管理者公募に向けた
事業計画を立案します。
「千代田区ならではの、次世代図書館とは何か」を定義するための
思想的・実証的なバックグラウンドを整備するため、
以下のテーマについて深く調査し、出力形式に従って報告してください。
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# 調査テーマ
1. 図書館の歴史的変遷と、本来の存在意義
2. 世界の先進的な図書館の取り組みと、共通して見られる方向性(2020年代)
3. 日本国内の公共図書館の最新トレンドと、指定管理者制度をめぐる動向
4. 以上を踏まえ、千代田区という文脈に引き寄せたときの示唆
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# 出力形式
各テーマについて以下の3点をセットで出力してください。
① 調査結果(事実・データ・事例)
② 千代田区への示唆(事業計画にどう活かすか)
③ 人間が直接確認すべき一次情報・資料名・検索キーワード
長文・詳細歓迎。深く思考して質の高い出力をお願いします。[上記プロンプトで生成した文書](https://drive.google.com/file/d/1ynPbbaXhxFowlEkdb88xMjMotzwrjaj4/view?usp=drive_link)
このリサーチで、業界の文脈を一気に取り戻せました。世界のトレンドと千代田区の文脈を照らし合わせることで、「千代田区ならではの図書館像」の仮説が浮かび上がってきます。
②痛感その二:現在の運営が、あまりにも素晴らしすぎる
あらためてリサーチを重ねながら痛感したこと、その二。
「攻めどころが、本当に見つからない。」
そこで投入したのが、現指定管理者の運営評価プロンプトです。ただの「弱点探し」ではなく、理想の千代田図書館像を定義し、その理想と現状のギャップを浮かび上がらせるという構造で設計しました。
# 指示
あなたは指定管理者制度のコンペで圧倒的な採択率を誇る、
戦略コンサルタント兼図書館政策の専門家です。
これから東京都千代田区立図書館(5館一括)の指定管理者公募に向け、
審査員を納得させる提案を作るための「課題の特定と提案の勝ち筋」を
明らかにします。
審査員が共感する課題とは、「現状が悪い」という課題ではなく、
「現状は良いが、時代の変化・区民の期待に照らすとまだ届いていない領域がある」
という構造の課題です。
その構造的課題をあぶり出すため、以下のテーマについて深く調査してください。
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# 対象施設
1. 千代田図書館(区役所本庁舎9・10階:中央館)
2. 日比谷図書文化館(日比谷公園内)
3. 四番町図書館(三番町14-7)
4. 昌平まちかど図書館(外神田3-4-7)
5. 神田まちかど図書館(神田司町2-16)
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# 調査テーマ
1. 千代田区の都市特性と、図書館に期待されている役割
2. 現指定管理者の運営実績・強み・継承すべき取り組み
3. 各館ごとの現状と、理想像・最新トレンドとのギャップ
4. 5館一括管理だからこそ生まれうる課題と可能性(横断的視点)
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# 出力形式
各テーマについて以下をセットで出力してください。
① 現状(事実・データ)
② 潜在的課題(理想像・トレンドとのギャップ)
③ 提案の勝ち筋(具体的アプローチ)
④ 確認が必要な一次情報・資料名
長文・詳細歓迎。深く思考して高品質な出力をお願いします。[上記プロンプトで生成した文書](https://drive.google.com/file/d/1Iw4OYbmKZjLWQm_jDGas7SabnEY5kyBM/view?usp=sharing)
このプロンプトのポイントは、「課題の切り口」の定義です。
「現状が悪い」という課題を探すのではなく、現状は良いが、時代の変化・区民の期待に照らすとまだ届いていない領域があるという構造で課題を捉える。
この視点を持てると、審査員が「そうそう、そこが気になっていたんだ」と膝を打つような提案が書けるようになります。
やればやるほどあっぱれな現指定管理者の実態が見えてきましたが、それと同時に、2020年代後半に求められる次の図書館像との微妙なギャップも、少しずつ見えてきました。
③イベント実態の全量把握:年間カレンダー形式で5館を解剖する
リサーチの最後に実施したのが、自主事業・イベントの実施状況の全量把握です。
「どんなイベントをどれくらいやっているか」を把握することには、二つの意味があります。一つは、現在実施しているすべての事業を確実に継続するという最低限の約束を果たすため。もう一つは、その先にある「さらなる価値提供」の根拠を作るためです。現状を正確に知らずして、提案は語れません。
以下のプロンプトを使い、5館の施設HPを徹底的に読み込んでもらいました。
# 指示
あなたは公共施設の自主事業企画と広報戦略に精通した
マーケティング・コンサルタントです。
これから東京都千代田区立図書館(5館)の指定管理者公募に向け、
現指定管理者が実施してきた自主事業・イベント・広報施策の
実態を把握するため、以下のURLを起点に徹底的にリサーチして報告してください。
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# 調査対象URL
千代田図書館:https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/chiyoda/
日比谷図書文化館:https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/hibiya/
四番町図書館:https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/yonbancho/
昌平まちかど図書館:https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/shohei/
神田まちかど図書館:https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/kanda/
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# 調査テーマ
1. 各館で実施されている自主事業・イベントの種類と年間の実施状況
2. 5館を月別・館別に整理した年間カレンダー
3. 実施状況の評価と、まだ手が届いていない領域の仮説
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# 出力形式
- 年間カレンダーは表形式で出力(月×館のマトリクス推奨)
- 評価・分析は「現状」「課題」「提案への活かし方」の3点セットで
- 情報が不足している箇所は「現地確認が必要な点」として明記
長文・詳細歓迎。時間をかけて質の高い出力をお願いします。[上記プロンプトで生成した文書](https://drive.google.com/file/d/1OVG58FuTAt4C-fPTF-I5qORZfsSpHYtt/view?usp=sharing)
結果は……やはり、充実していました(笑)。
それでも、このリサーチを通じて一つの問いが浮かんできました。5館それぞれの充実した取り組みを、館をまたいでさらに有機的につなげることはできないかという問いです。
現指定管理者の各館の運営は、それ単体で見れば本当に質が高い。だからこそ、次の5年でさらなる可能性を探るとしたら、どこにあるだろうか——そんな視点で事業計画を描いていきたいと思います。
リサーチのやりすぎは禁物。「質×最小量」が正解
ここで重要な注意点をお伝えします。
リサーチは、やればやるほど精度が上がるわけではありません。
情報量を増やしすぎると、AIの出力がぼやけます。矛盾した情報が入り混じることで、かえって曖昧な提案になってしまう。
私が実感しているベストプラクティスはこうです。
「質の高い一次情報を少なく、精密に運用すること。」
NotebookLMに投入する資料は、基本この5種類です。そして、最後の一つが最も重要です。
| 種類 | 具体例 |
|---|---|
| 基本資料 | 募集要項、業務要求水準書 |
| 行政計画 | 千代田区基本計画、文化振興計画 |
| 現指定管理者情報 | 事業報告書、モニタリング評価結果 |
| 施設情報 | 各館HP、年次統計 |
| ⭐️自分の足で稼いだ一次情報 | 利用者ヒアリング、アンケート、現地視察メモ |
最後の「足で稼いだ一次情報」だけは、AIには絶対に代替できません。実際に施設を訪れて感じた空気感、利用者との会話の中で出てきた生の声、スタッフの表情——これらはどんな文書にも載っていない、あなただけが持てる情報です。
そしてこれこそが、同じAIを使っていても提案の質に決定的な差を生む唯一の要素です。
Deep Researchで生成した分析レポートは「思考の補助」として使い、NotebookLMのソースには行政が作った一次情報の原本と、自分の足で集めた生の声を優先する。この原則一つで、AIのアウトプット品質は大きく変わります。
社内を動かす:NotebookLMのスライド機能で稟議資料を秒速作成
さて。ここまでリサーチが進んだ担当者のみなさん。
「よし、応募の方向で動こう」と思ったとして、次に立ちはだかる壁があります。
「上司・経営陣へのプレゼン」です。
「千代田区の図書館、出てみたいんですが」 「今の指定管理者、強くない?本当に採れるの?」 「ちゃんと資料を持ってきて」
このやり取り、何度経験してきたことか(笑)。
でも、AI時代はこの資料作成すら、秒で終わります。
NotebookLMのスライド生成機能を使います。右上の「スライド」ボタンを押すだけで、投入したソースを元にプレゼン資料の骨子を自動生成。
その前に、以下のプロンプトを「ノートに追加」の欄に入力しておくと精度が上がります。
以下の条件で、経営層向けの応募検討サマリースライドを作成してください。
【目的】
千代田区立図書館(5館)指定管理者公募への参加可否を
判断するための意思決定資料
【読者】
[ 御社社名 ]の経営メンバー(指定管理制度に詳しくない方も含む)
【構成案】
1. 案件概要(規模・期間・指定管理料の上限)
2. なぜ今この案件に注目するか(戦略的理由・逆張りの根拠)
3. 現状の市場環境(現指定管理者の強みと参入余地)
4. 私たちが提案できる価値(仮説ベース可)
5. 今後のアクション(説明会参加・ドラフト作成のスケジュール)
6. 意思決定のお願い(判断軸の明示)
シンプルで説得力のある内容にしてください。そして、以下のような資料がワンクリックにて、5分ほど待つと自動に生成されました。 一部抜粋してご紹介。
[上記プロンプトで生成したサマリー資料をすべて見る](https://drive.google.com/file/d/19KuaAAw4rFe4r2WWMj3CGW0IlkL3e4W-/view?usp=sharing)
多少の文字化けとか誤字が気にならなければ、
「AIが作ったので、多少ミスはありますが、おおむね合ってます!」と、一言添えて、
どうしても誤字文字化けが気になる、上司が許してくれないという方は、PowerPointダウンロードができますので、一度ダウンロードして編集をしてください。
そして、このスライドを説明会前に関係者へ共有し、一言添えます。
「説明会に参加する旨を報告します。情報を確認した上で最終判断を仰ぎますので、よろしくお願いします。」
これだけで、上司の評価が変わります。「こいつ、ちゃんと考えて動いているな」という印象が、数枚のスライドで生まれる。
検討継続の許可取りも、これで完了です。
AI時代の新提案プロセス:「説明会前にドラフトを完成させる」
ここからが、今回一番伝えたいことです。
これまでの業界の常識はこうでした。
説明会 → 資料収集 → 事業計画書作成 → 提出
この順番、AI時代にはもう古い。
私が推奨する新しいプロセスはこうです。
「説明会前に、事業計画書のドラフトを完成させる。」
なぜそれが可能で、なぜそれが有効なのか。理由は3つです。
理由①:現地確認のピントが変わる
ドラフトがある状態で説明会・現地視察に臨むと、確認すべき点が明確になります。
「この提案で想定しているオペレーションは、本当にこの施設でできるのか?」 「スタッフ配置の前提に、制約はあるか?」
ドラフトがない状態では「なんとなくメモを取る」だけで終わりがちな現地視察が、仮説検証の場に変わります。
理由②:JVパートナーとの交渉が有利になる
年間10億円規模の案件では、ビルメン会社・出版社・地域団体など複数のプレイヤーとのJVが有効です。
すでにドラフトがあるという状態でパートナー交渉に入ると、相手の受け取り方が変わります。「うちと組みたいなら、まずこのドラフトを見てほしい」——これが言える事業者は、引き合いが違います。
理由③:提出期限の圧力を受けない
ゼロの状態で説明会を迎えると、残り日数のプレッシャーが判断を歪めます。焦りの中で作った計画書は、詰めが甘い。
説明会の情報を受けて、すでにあるドラフトをアップデートする作業に落とし込めれば、余裕をもって高品質な提案が完成します。
次回予告:説明会前ドラフトの実際の作り方
次回は③として、AIを使った事業計画書ドラフトの具体的な作成手順をお届けします。
構成の組み方・NotebookLMを使った情報参照の方法・費用計画の考え方——これらを千代田区案件の実例に沿って公開していきます。
PFI事業者・指定管理事業者のみなさん、ぜひご注目ください。
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 業界知見のアップデート | Deep Researchで図書館トレンドをリスキリング。提案の鮮度を保つ |
| 課題の切り口 | 「現状が悪い」ではなく「理想との構造的ギャップ」として課題を定義する |
| リサーチ適正量 | 質の高い一次情報を絞り込んで使う。やりすぎは逆効果 |
| 足で稼ぐ情報が最強 | 利用者の生の声・現地視察メモだけはAIに代替不可。これが提案の差になる |
| 社内稟議の突破 | NotebookLMスライド機能+プロンプトで経営向け資料を秒速生成 |
| 説明会前ドラフト戦略 | 現地確認・JV交渉・締切プレッシャーすべてに有利な、AI時代の新提案プロセス |
リサーチをすればするほど「すごい」と感じさせられる現指定管理者。でも——それが見えているということは、次の5年で目指すべき方向性も見えているということ。
次回、一緒にドラフトを完成させましょう。
>>> 全国の指定管理公募情報とAIを活用した事業計画書Tipsを日本中にお届け。指定管理者制度AI Proプランの詳細はこちらから。みなさまのご登録をお待ちしております。


指定管理者制度に携わる皆様の業務効率化と採択率向上をサポートする記事をお届けしています。
ヤマザキは2004年から大学で指定管理者制度を研究し、
2010年からの10年間は、指定管理/PFI/PPPのコンペや運営現場の最前線に立ち続けてきました。
その後はスタートアップとの協業や出資、ハッカソンも数多く主催。「現場」と「未来」双方の知見を活かした情報発信を行っています。
その経験をもとにした本サービス「指定管理者制度AI」では、実際にAIを活用した提案書・企画書作成サービスを展開。 豊富な採択事例データベースと高度な自然言語処理技術により、要点整理から文書構成の最適化まで包括的にサポートします。
自治体要件の読み取り、競合分析、予算計画の策定など、指定管理者応募に必要な業務を効率化し、 質の高い提案資料を短時間で作成できる専門AIツールを提供しています。