
AIで挑む、千代田区立図書館(5館)の指定管理者公募。①事前リサーチ編
年間10億円近い指定管理料、5館一括、指定期間中に施設移転あり——国内最大級クラスの千代田区立図書館案件をAIで攻略するシリーズ始動。案件発見から事前リサーチのセットアップまで、DeepResearch×NotebookLMを使った爆速リサーチの全手順を公開します。PFI事業者・指定管理事業者の方にも参考になる内容です。
公開日2026/04/05
目次
「これ、うちには無理だ」と思っていませんか?
メルマガで案件名を見た瞬間、こう感じた方もいるのではないでしょうか。
「千代田区立図書館、5館一括……年間10億円規模……さすがにうちは無理か」
でも少し待ってください。
その「無理」という直感は、本当に実力の差から来ているのでしょうか。
それとも、「リサーチと準備に時間がかかりすぎる」という、作業コストの問題ではないでしょうか。
私ヤマザキは、AIを使えばその壁を越えられると考えています。
日本の中枢・千代田区が舞台の、国内最大級クラスの指定管理案件。
これを題材に、AIを活用した事業計画書作成の全プロセスを公開するシリーズをスタートします。
第1回の今回は、案件の発見から事前リサーチのセットアップまでをお届けします。
この記事でわかること
- 千代田区立図書館(5館)の指定管理公募の基本情報と案件の全体像
- 指定管理者制度AIのメルマガを使った案件発見の仕組み
- 事前リサーチで何を・どの順番で調べるべきか
- DeepResearch × NotebookLMを組み合わせた爆速リサーチの手順
まず、この案件がどれだけ大きいかを知る
案件の規模感を整理しておきましょう。
千代田区立図書館は平成19年度から指定管理者制度を導入し、平成29年度からは1事業者による全館一括管理に移行しています。
今回は令和8年度末での指定期間終了に伴い、令和9年度からの次期指定管理者の選定公募です。
対象は5館、一括での指定管理です。
指定期間は令和9年4月1日から令和14年3月31日までの5年間。
指定管理料の上限額は5年間の総額で約55億4,500万円(消費税込)、参考として令和8年度の指定管理料は約9億6,100万円となっています。
年間10億円近い、まさに国内最大級クラスです。
5館の内訳は、千代田図書館(区役所9・10階)、日比谷図書文化館(日比谷公園内)、四番町図書館、昌平まちかど図書館、神田まちかど図書館。蔵書数は5館合計で約57万点、令和6年度の入館者数は日比谷図書文化館だけで年間55万人を超えています。
さらに注目すべき点が一つあります。四番町図書館については、指定管理期間内の令和9年秋に、複合施設(保育園・児童館・区営住宅等)内の新施設への移転が予定されています。
指定期間中に施設移転が発生するという、オペレーション的にも難易度の高い案件です。
現指定管理者の方々も超絶圧倒的強者なので、こんな案件は正直スルーです。出すだけ時間の無駄です。
Before AI 時代なら。。。
案件の発見:メルマガからリサーチへ
この案件を最初に掴んだのは、指定管理者制度AIが毎日12:00に配信しているProプラン向けメルマガです。
全国1,700以上の自治体から指定管理公募情報を漏れなく収集し、毎日整理してお届けしています。
4月3日配信号にこの案件が掲載されたのを確認し、即座にリサーチを開始しました。
指定管理者制度AIのサイトで概要をざっと確認。
募集要項はブラウザ上で直接閲覧できるので、わざわざダウンロードしなくても流し読みが可能です(これが地味に時短になります)。
募集要項を流し見した段階で年間10億円規模の案件であることが確認でき、指定管理者制度AI編集長ヤマザキとしては、「これはAIの実力を測るのに最適な案件だ」 と判断。
詳細リサーチに入ることにしました。
事前リサーチの設計:何を・どの順番で調べるか
大規模案件ほど、リサーチの「設計」が成果を分けます。
私が実際に使っている構成はこうです。
① 自治体全体のこと 千代田区の人口構成、財政状況、文化・教育施策の方向性。区が図書館に何を期待しているかの「文脈」を掴みます。
指示
あなたは指定管理者制度の公募に精通した、プロフェッショナルの公共事業企画コンサルタントです。
これから東京都千代田区の千代田区立図書館5館(千代田図書館、日比谷図書館、四番町図書館(仮施設・新施設)、昌平まちかど図書館、神田まちかど図書館)に関する指定管理者の事業計画を立案します。
提案の確度を極限まで高めるため、以下の【調査対象】と【調査項目】に基づき、行政の背景情報を徹底的にリサーチし、多角的な視点から分析・整理してください。
調査対象
・対象自治体:東京都千代田区
・対象施設・分野:
千代田区立図書館5館を一括して指定管理の対象とします。
千代田図書館(九段南1-2-1 区役所9・10階)
日比谷図書文化館(日比谷公園1-4)
四番町図書館(三番町14―7)
昌平まちかど図書館(外神田3-4-7)
神田まちかど図書館(神田司町2―16)
※文化、教育、出版が主なテーマとなります。
調査項目(行政文書のレイヤー別)
【最上位計画】総合計画・まちづくりビジョン当該自治体が目指す将来像と、今回の対象分野(施設)がどう紐づいているか。
【施設管理方針】公共施設等総合管理計画施設の統廃合、複合化、長寿命化、財政負担の軽減に向けた自治体の基本方針。
【分野別計画】個別施策の計画(例:文化芸術振興計画など)対象分野における現在の課題、数値目標、行政が重点を置いている施策。
【首長・議会の動向】施政方針演説・議会での議論首長が注力している関連テーマや、市議会で指摘されやすい対象施設・分野への懸念事項や住民からの要望。
【地域の特性・課題】人口動態と地域ニーズ対象エリアの人口推計、少子高齢化の状況から推測される、施設に求められる新たな役割。
出力形式
各項目について、具体的な要点と「事業計画にどう組み込むべきか(示唆)」をセットにして出力してください。また、より正確な情報を得るために人間が直接確認すべき「検索キーワード」や「行政文書名」も付記してください。
ゆっくり考えていい・長文OKなので、深く思考して質の高いアプトプットをしてください。② 施設のこと 各館の利用実績、立地特性、利用者層、施設の強みと課題。日比谷図書文化館と千代田図書館では求められるサービスの性格がまったく異なります。
# 指示
あなたは指定管理者制度に精通した、プロの公共施設運用コンサルタントです。
これから東京都千代田区が公募する「千代田区立図書館(5館一括)」の指定管理に向けた事業計画を立案します。
千代田区特有の地域事情(昼夜間人口の差など)と、性格の異なる5つの図書館の「場所の力(ポテンシャル)」を掛け合わせた、圧倒的で革新的な提案を行うため、以下の【調査項目】に基づき徹底的に深掘りして分析してください。
# 対象施設情報(5館一括管理)
・自治体名:東京都 千代田区
・対象施設:
1. 千代田図書館(区役所本庁舎9・10階:中央館的役割)
2. 日比谷図書文化館(日比谷公園内:ミュージアム機能併設・歴史的施設)
3. 四番町図書館(住宅街エリア:地域密着型)
4. 昌平まちかど図書館(秋葉原・外神田エリア:学校施設等との複合)
5. 神田まちかど図書館(神田司町エリア:小学校等との複合)
# 調査項目
1. 【各館の成り立ちと歴史的役割の違い】
- 日比谷図書文化館(旧都立日比谷図書館)が持つ歴史的意義と、千代田図書館が区役所内に移転・開館した背景。
- 他の3館がそれぞれの地域(番町、秋葉原、神田)で果たしてきた役割の変遷。
2. 【建築・空間的な特色と立地のポテンシャル】
- 高層階にある千代田図書館、公園内の三角形建築である日比谷図書文化館など、各館の空間的ユニークさとその活用可能性。
- 学校等の複合施設内にある「まちかど図書館」特有の物理的制約やメリット。
3. 【千代田区特有の人口動態とターゲット層】
- 圧倒的な昼間人口(ビジネスパーソン、学生)と、限られた夜間人口(居住者)のライフスタイルの違い。
- エリアごとの利用者層の違い(例:神田の古書店街文化、秋葉原のテクノロジー文化、丸の内・日比谷のビジネス文化など)と、それぞれのニーズ。
4. 【5館連携(ネットワーク)による相乗効果】
- 点在する5館を「1つの指定管理者が一括運営する」からこそ生み出せる、機能の棲み分けと回遊性(ネットワーク化)のポテンシャル。
5. 【競合・代替施設の状況(民間含む)】
- 区内に多数存在する大学図書館、国立国会図書館、民間のコワーキングスペース、大型書店、ブックカフェ等とのポジショニングの違いと共存戦略。
# 出力形式
各項目について、AIの知識から導き出される事実や推測を箇条書きで整理してください。
さらにその直後に、必ず【提案への活かし方】を出力してください。
もしAIのデータベース上で具体的な情報が不足している場合は、「現地調査やヒアリングで人間が直接確認すべきポイント」としてリストアップしてください。③ 現在の指定管理者のこと 現指定管理者の運営実績、評価結果、強み・弱み。どこが評価されてきたか、どこに改善余地があるかを把握します。
# 指示
あなたは指定管理者制度の公募において、圧倒的な勝率を誇るプロの戦略コンサルタントです。
これから東京都千代田区の「千代田区立図書館(5館一括)」の指定管理者公募に向け、現行事業者に打ち勝つための戦略的な事業計画を立案します。
現行の運営体制を徹底的に分析し、行政の隠れた不満や利用者のアンメットニーズ(満たされていない需要)をあぶり出すため、以下の【調査項目】についてリサーチし、出力形式に従ってまとめてください。
# 対象施設情報(5館一括管理)
・自治体名:東京都 千代田区
・対象施設:
1. 千代田図書館(区役所本庁舎9・10階)
2. 日比谷図書文化館(日比谷公園内)
3. 四番町図書館(三番町14-7)
4. 昌平まちかど図書館(外神田3-4-7)
5. 神田まちかど図書館(神田司町2-16)
# 調査項目
1. 【現指定管理者のプロファイルと特色】
- 現在の5館一括の指定管理者は誰か(企業、団体、JV等の構成員とその役割分担)。
- その体制が持つ強み(例:図書館単体の運営ノウハウなど)と、想定される弱点(例:5館の横の連携不足、テクノロジー活用や新規事業開発の遅れなど)。
2. 【基礎運営情報(営業時間・休館日)の最適性】
- 各館の現状の営業時間と休館日。
- 千代田区特有のビジネスパーソン・学生の動線や、地域住民のライフスタイルと照らし合わせた際、現在の設定による「機会損失」がないかの考察。
3. 【現状の事業展開(自主事業・提供事業)】
- 施設規模の大きい千代田図書館・日比谷図書文化館を中心に展開されている自主事業のラインナップ。
- イベントが単発で終わっていないか、5館のネットワークを活かしきれていない部分はないか。
4. 【顧客満足度と評判(ユーザーの声)】
- 利用者アンケートの結果、SNSでの口コミ、Googleマップのレビュー等の傾向(各館ごとの特色を含む)。
- 特にビジネス層、研究者、地元住民(子ども・シニア)それぞれから「不満の声」や「改善要望」として挙がっているペインポイント。
5. 【行政からの評価と議会の動向】
- 千代田区による「モニタリング評価(事業評価)」の結果や、評価委員会からの指摘事項。
- 区議会(定例会や委員会)の議事録において、図書館の運営、施設の老朽化、利用実績などに関して議員から指摘・追及されている課題。
6. 【運営収支と財政課題】
- 5館全体の収支状況(指定管理料への依存度、日比谷等でのカフェ・ホール等の収益力など)。
- 5館一括管理のスケールメリットを活かしたコスト削減、またはトップライン(売上)向上の余地がどこに残されているか。
7. 【その他、勝つために狙うべき死角(戦略的観点)】
- 人材確保・育成の課題、各館の老朽化設備の維持保全リスク。
- 現行事業者が手が回っていないと思われる領域(館をまたいだ回遊性の創出など)。
# 出力形式
各項目について、具体的な「現状(事実・データ)」を記載した上で、必ず**【現状の課題(弱点)】**と、それに打ち勝つための**【提案の勝ち筋(我々がどうアプローチすべきか)】**をセットにして出力してください。これらをベースにDeepResearchで一気に調べた後、個別具体のテーマも掘り下げていきます。私がよく突っ込んで調べるのは以下のような項目です。
くわえて、AIに対して、「その他具体的にリサーチしたほうがいい項目はある?」と聞きます。 そうすると、AIからは選定評価基準から、
各館の地域特性等を踏まえた特色あるサービスの提案 読書活動推進についての提案 各種団体等との連携
が評価項目に明記されていると、提案がありました。 それらに関しても、リサーチをしてもらいます。
リサーチの仕上げ:NotebookLMへ一括投入
リサーチが一通り終わったら、NotebookLMを立ち上げます。 下の画像の+ボタンをクリックすると、新規にプロジェクトを立ち上げられます。
プロジェクトを立ち上げたら、収集した情報をNotebookLMに一括で読み込ませます。 Driveから直接つないでもいいですし、PDFにしてアップロードでもお好きなやり方で!
あと、DeepResearchの際に、出展として採用したリンクや資料がレポートの末尾に記載されています。 その中で、気になる資料があったら、個別にDLして一緒にNotebookLMに原本をあげましょう。
ここでは、千代田区作成の関連資料をPDFでダウンロードしてアップロードしました。
今までは、いちいち検索して調べて読み込んでましたが、DeepResearchで一覧化してくれているので、検索時間も大幅にカットですね。
この作業で、自治体の文化振興計画、現指定管理者の事業報告書、モニタリング結果……これらをまとめてソースとして登録しておきました。
あとは基本資料となる、募集要項、業務要求水準書などなどをNotebookLMにアップロード。
こうして、「この案件専用担当の優秀な社員」 を誕生させることができました。
この一連の作業、慣れてしまえば30分程度で完了します。
機械的にこなすべき工程を体系化してしまえば、頭を使うべき「提案の中身」に集中できる時間が増えます。
まとめ:「参加できる状態」をつくることが第一歩
今回お伝えしたのは、ここまでです。
- 案件の発見(メルマガ活用)
- 募集要項の概要把握
- リサーチ設計(自治体・施設・現指定管理者の3軸)
- DeepResearch実行 → NotebookLM投入
年間10億円の大型案件でも、リサーチの設計とAI活用を組み合わせれば、参加検討のための土台は30分でつくれます。
次回は②として、実際のDeepResearch結果を踏まえた、意思決定に向けた事務作業についてお伝えしたいと思います。
指定管理事業者の営業マン必須の内容かと思いますので、ご注目ください。
提案書は出すことで機会が生まれます。 まずは「参加できる状態」をつくること。その一歩を、AIと一緒に踏み出しましょう。
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指定管理者制度に携わる皆様の業務効率化と採択率向上をサポートする記事をお届けしています。
ヤマザキは2004年から大学で指定管理者制度を研究し、
2010年からの10年間は、指定管理/PFI/PPPのコンペや運営現場の最前線に立ち続けてきました。
その後はスタートアップとの協業や出資、ハッカソンも数多く主催。「現場」と「未来」双方の知見を活かした情報発信を行っています。
その経験をもとにした本サービス「指定管理者制度AI」では、実際にAIを活用した提案書・企画書作成サービスを展開。 豊富な採択事例データベースと高度な自然言語処理技術により、要点整理から文書構成の最適化まで包括的にサポートします。
自治体要件の読み取り、競合分析、予算計画の策定など、指定管理者応募に必要な業務を効率化し、 質の高い提案資料を短時間で作成できる専門AIツールを提供しています。