
AIで指定管理事業計画書をつくる全工程【前橋市広瀬スポーツ・カルチャーセンター実践編】
前橋市広瀬スポーツ・カルチャーセンターの指定管理事業計画書をAIで作った全工程を公開。NotebookLMとGemini DeepResearchを使った「仕込み」の5ステップをプロンプト付きで解説。コピペしてそのまま使えます。審査員が「わかってる」と感じる提案書づくりの秘訣、教えます。
公開日2026/03/18
目次
AIで指定管理事業計画書をつくってみた【前編:ツール紹介と準備の全工程公開】
指定管理事業者のみなさん、こんにちわ。指定管理者制度AI編集長のヤマザキです。
事業計画書の締め切り、3日前。
白紙のスライドを前に、手が止まる。 「理念・方針」という見出しだけが、画面に浮かんでいる。
去年落選した悔しさを引きずりながら、 結局「利用者の利便性向上に努め……」という無難な書き出しに逃げてしまう。
——あの夜の感覚、わかりますか。
私はわかります。 だから今回、ぜんぶAIにやらせてみました。
この記事でわかること
- 事業計画書をAIで作るときに「使うべきツール3つ」とその役割分担
- プロンプトをそのままコピペして使える「仕込みの全工程5ステップ」
- 「AIに何を食わせるか」で品質がまったく変わる理由と、その具体的な方法
①使ったツールは、たった3つだけ
難しいことはしていません。 「GoogleWorkspaceを使っている企業」なら、追加費用ゼロで全部揃います。
🔵 NotebookLM — 情報を「脳」に変えるエンジン
PDFや資料を放り込むと、AIがまるごと読み込んで質問に答えてくれる。 Google謹製の情報整理ツールです。
今回の役割は「頭脳の集積地」。 調べた情報・公募資料・自社情報を全部ここに集めて、提案の軸を作ります。
🟡 Gemini DeepResearch — Web世界の現チャンピオン
OpenAIのサム・アルトマンが「いいのつくりましたね」とXでつぶやいた、あのGemini。 DeepResearch機能は通常検索とは次元が違います。深く、広く、勝手に調べてくれる。
今回の役割は「調査と分析の主エンジン」。
🔴 PowerPoint — 業界最強のアウトプット
旧式に見えて、指定管理業界では最強のアウトプットツール。 事業計画書も審査用プレゼン資料も、これ一択です。
②なぜ「仕込み」がすべてを決めるのか
「AIで作る」——この言葉を聞いて、こう思う人がいます。
「ChatGPTに『事業計画書を書いて』と打てばいいんでしょ?」
違います。それが一番ダメなやり方です。
ゴミを入れれば、ゴミが出てくる。
良質な素材を丁寧に仕込めば、AIは驚くほど賢く動いてくれる。 今回の前編では、その「仕込み」の全工程を順番に公開します。
③準備の全工程:5つのSTEP
今回の案件は、前橋市広瀬スポーツ・カルチャーセンター。 群馬県前橋市に新築される、スポーツと文化の複合施設です。
新築案件、かつちょっと季節外れのタイミング。「これ、面白そう」と思った案件です。 完成した事業計画書はこちらの記事で公開済みです。ぜひ見比べてください。
STEP 1|公募資料を、まるごとNotebookLMに食わせる
まず最初にやること——それだけです。
前橋市が公開している公募関係の資料を、全部 NotebookLMに読み込ませます。 業務仕様書、募集要項、施設概要……出てきたものは全部インプット。
これが「ベースキャンプ」です。 ここを丁寧に作ると、後の工程がまったく変わります。
STEP 2|自社情報もNotebookLMへ
次に、自社の情報を読み込ませます。
私の場合は「株式会社ヤマザキ」という架空の企業で検証しましたが、みなさんは自社の会社案内・実績資料・強みをまとめたものを入れてください。
「AIに自社を知ってもらう」——この一手間が、提案書のリアリティを爆上げします。
STEP 3|Gemini DeepResearchで、案件を丸裸にする
ここからDeepResearchの本番です。 以下のプロンプトをそのままコピペして使ってください。
💡 【 】の中だけを自分の案件に書き換えればOKです。
# 役割
あなたは指定管理者制度に精通した公共施設経営コンサルタントです。
公共政策・地域スポーツ振興・PPP/PFIの実務知識を持ち、
これまで50件以上の指定管理者選定コンペを支援してきた実績があります。
# 目的
【自治体名・施設名】の指定管理者選定コンペにおいて、
審査員が「この事業者は地域を本当に理解している」と感じる
事業計画書を作るための情報基盤を構築する。
# 調査してほしいこと
## 1. 施設・制度の基礎情報
- 業務仕様書に記載された指定管理業務の範囲と必須条件
(人員配置、維持管理、清掃頻度、修繕費分担など)
- 指定期間、指定管理料の上限、評価指標(モニタリング項目)
- 過去の指定管理者と、その評価・課題(公開情報の範囲で)
## 2. 自治体の政策ニーズ
- 市の最上位計画・総合計画における施設の位置づけ
- スポーツ推進計画・文化振興計画の数値目標(KPI)
- 施設に関連する市議会の議事録や首長の発言(政策的な期待値)
## 3. 地域分析
- 施設周辺地区の人口動態(年齢構成・高齢化率・転入出傾向)
- 地域コミュニティの特質(自治会・スポーツ団体・文化団体の活動状況)
- 連携可能なプロスポーツチーム・アマチュア団体・教育機関
## 4. 地域固有の文脈
- 施設所在地ならではの歴史・文化・産業的背景
- 周辺施設との競合・補完関係
- 地域が抱える課題と、この施設が果たせる役割
# 出力形式
各項目ごとに以下の構成で出力してください:
1. 調査結果(事実ベース)
2. 事業計画書への示唆(提案への活用ポイント)
3. 要確認事項(情報が不足している点・現地確認が必要な点)
# 品質基準
- 出力前に、各情報のファクトチェックと実現可能性を確認すること
- 憶測・推測は「※推定」と明記すること
- 情報源(公式サイト・計画書名など)を可能な限り明示すること
出力されたレポートは、即NotebookLMへ。
STEP 4|「行政の本音」を掘り起こす
最初のレポートを見て、正直こう思いました。
「情報は整理された。でも、芯を喰っていない。」
地域データは出てきた。でも「なぜこの施設を作ったのか」「行政が本当に期待していること」は、まだ見えていない。
そこで追加プロンプト。同じGeminiのチャット画面で、続けて入力してください。
# 役割
あなたは行政経営と住民サービスに精通した公共政策アナリストです。
自治体が「公募要項に書けない本音のニーズ」を読み解くことを専門とします。
# 目的
【自治体名・施設名】の指定管理者として選ばれるために、
審査員(行政職員・有識者)が「わかってる」と膝を打つ
提案の根拠を作る。
# 分析してほしいこと
## 1. 行政のKPIと成果指標
- 市のスポーツ・文化関連計画に記載された数値目標を特定する
(例:成人スポーツ実施率、施設利用者数目標、健康寿命延伸目標)
- 指定管理者が貢献できるKPIを具体的に紐づける
## 2. 担当部局の「困りごと」推定
- 所管課が抱えやすい業務課題を分析する
(例:住民クレーム対応、利用率低迷、予算削減圧力)
- 指定管理者がどう「行政の代わりに解決できるか」を整理する
## 3. 審査員が重視するポイントの推定
- 選定基準の配点から優先項目を読み解く
- 過去の選定結果・審査講評から審査傾向を分析する
## 4. 住民・利用者の潜在ニーズ
- 人口動態・地域特性から「まだ言語化されていないニーズ」を抽出する
- 類似施設の成功事例から、この地域で有効な施策を提案する
# 出力形式
「行政が期待していること」と「指定管理者として応える提案の方向性」を
セットで整理した表形式(+補足説明)で出力してください。
# 品質基準
- 推測・仮説には「※仮説」と明記すること
- 根拠となる公開情報・計画書名を明示すること
- 実現不可能な提案は除外し、現実的な施策のみ記載すること
これが効いた。解像度、爆上がり。
「成人のスポーツ実施率を70%にする」という具体的なKPIが出てくると、提案書の刺さり方がまるで変わります。「行政の言葉で語れる」ようになる——これが勝てる提案書と負ける提案書の、本質的な差です。
出力はまたNotebookLMへ。
STEP 5|自主事業を「収益ベース」で設計する
最後は、審査員の目を奪うパートです。
「こんな教室やります」だけでは弱い。 審査員が本当に見ているのは、**「この事業者、本当に収益を作れるのか」**という点です。
# 役割
あなたは公共スポーツ・カルチャー施設の自主事業開発の専門家です。
フィットネス・アート・IT・健康増進の教室ビジネスに精通し、
公共施設特有の制約(使用料規程・公平性・採算性)を熟知しています。
# 目的
【施設名】の指定管理者として提案する自主事業計画を設計する。
審査員が「収益的にも現実的で、かつ地域にとって価値がある」と
評価する事業ポートフォリオを構築する。
# 設計条件
- 年間教室数:40〜50教室
- 構成イメージ:
・年間36〜48回開講の定期教室(週1回程度)
・月1回の連続講座
・年1〜2回の単発イベント・体験教室
- 目標:収益最大化 × 住民ニーズへの対応 × 審査評価の獲得
# 設計してほしいこと
## 1. 商圏分析
- 施設から半径3km・5km・10km圏内の人口と年齢構成
- 競合となる民間フィットネス・カルチャー教室の状況
- 公共施設ならではの差別化ポイント
## 2. 住民ニーズの特定
- 年齢層別(子ども・現役世代・シニア)の需要が高いプログラム
- 地域の健康課題・文化的関心と親和性の高いジャンル
- 競合が手薄なニッチ領域
## 3. 教室ラインナップ(具体案)
以下の形式で20〜30教室を提案してください:
| 教室名 | ジャンル | 対象 | 頻度 | 定員 | 受講料 | 収益ポテンシャル | 実施難易度 |
## 4. 週間スケジュール(仮)
- 施設の利用時間帯別(午前・午後・夜間)に教室を配置
- 施設スペースの効率的な活用を考慮
## 5. 収支予測(年間)
| 項目 | 金額 | 前提条件 |
|------|------|---------|
| 自主事業収入合計 | | |
| 主要コスト(講師費・消耗品等) | | |
| 自主事業収支 | | |
# 品質基準
- 収支数字には根拠となる前提条件を必ず明記すること
- 公共施設として問題のある事業は提案しないこと
- 実施難易度(高・中・低)を各教室に付記すること
💡 【施設名】を書き換えてください。設計条件は自社の方針に合わせて調整可能です。
これもNotebookLMへ。
これで、事業計画書を書くための素材が全部揃いました。
前編まとめ
| STEP | やったこと | ツール |
|---|---|---|
| 1 | 公募資料を全投入 | NotebookLM |
| 2 | 自社情報を投入 | NotebookLM |
| 3 | 案件の地域・施設・競合分析 | Gemini DeepResearch |
| 4 | 行政の本音・KPIを掘り起こす | Gemini DeepResearch |
| 5 | 自主事業の収益設計 | Gemini DeepResearch |
全部の出力物をNotebookLMという「頭脳」に集約していく。 これが、AIで事業計画書を作る際の「仕込み」の全貌です。
ここまでで、全工数の約4割が終わっています。
AIを使っても、「何を食わせるか」が結果を左右する。 それは、どんな仕事も同じです。
後編へのお誘い
後編では、いよいよこの素材を使って、実際に事業計画書を書いていきます。
- NotebookLMへどんな質問を投げるか
- PowerPointへどう落とし込むか
- 全24ページの構成をどう設計したか
「AIって、どこまでやってくれるの?」——その答え、後編で出します。
完成版の提案書を先に見たい方は、こちらの記事から全文ダウンロードできます。仕込み工程と見比べると、理解がさらに深まります。
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そんな声をよく聞きます。だから私たちは、指定管理の文脈に合わせたノウハウだけを揃えました。
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ヤマザキは2004年から大学で指定管理者制度を研究し、
2010年からの10年間は、指定管理/PFI/PPPのコンペや運営現場の最前線に立ち続けてきました。
その後はスタートアップとの協業や出資、ハッカソンも数多く主催。「現場」と「未来」双方の知見を活かした情報発信を行っています。
その経験をもとにした本サービス「指定管理者制度AI」では、実際にAIを活用した提案書・企画書作成サービスを展開。 豊富な採択事例データベースと高度な自然言語処理技術により、要点整理から文書構成の最適化まで包括的にサポートします。
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