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【連載・第6回】「で、結局この仕事って儲かるの?」——指定管理のお金とリスク、ぜんぶ話します

【連載・第6回】「で、結局この仕事って儲かるの?」——指定管理のお金とリスク、ぜんぶ話します

指定管理者制度は儲かるのか? その答えは募集要項の「使用料」か「利用料金」かの一語で決まります。収入の3つの入り口(使用料・利用料金・自主事業)の違い、収入見込みの落とし穴、そして精算方式・ロスシェアリング・プロフィットシェアリングといったリスク分担の仕組みまで。応募前に確認すべき4つのチェックポイントがわかる、キレイごと抜きの連載第6回。

公開日2026/07/17

目次

この記事でわかること
結論:「使用料」か「利用料金」か。この一語で、すべてが決まる
お金の入り口は3つある
①使用料収入——「増えても、自分の儲けにはならない」お金
②利用料金収入——「増えた分が、まるごと自分の儲けになる」お金
③自主事業収入——「自分で企画して、自分で稼ぐ」お金
なぜ「収入をいくら見込むか」が勝負の分かれ目なのか
想定外の赤字から、あなたを守る仕組み
①精算方式——「読めない経費」を別枠にして、実費で清算
②ロスシェアリング——「想定外の収益減」を官民で分け合う
③プロフィットシェアリング——「儲かりすぎた分」を官民で分け合う
まとめ:募集要項を開いたら、この4つを確認しよう

指定管理者・PFI事業者のみなさん、指定管理者制度AI編集長のヤマザキです。

前回は、指定管理者制度のリアル——市場の変化、ルールの在り処、公募から指定までの流れを歩きました。

「勝負は募集要項の読みで7割決まる」。

この言葉、覚えていてくれたら嬉しいです。

そして前回の最後、指定管理者の4つの仕事のうち「料金の収受」のところで、こう予告しましたよね。

「この料金があなたの収入になるかどうかは、次回!」——お待たせしました。

今日が、その回です。

たぶん、ここまで連載を読んでくださったみなさんの心の奥には、ずっと口に出せていない本音が残っているはずです。

「制度はわかった。流れもわかった。……で、これって実際、儲かるの?」 「やってみて赤字になったら、どうなるの?

わかります。

すごく、わかります。立派な事業理念を語る前に、まずここがハッキリしないと、社内稟議も通せないし、一歩も踏み出せない。当然です。

だから今日は、キレイごとを一切抜きにして、指定管理の「お金」と「リスク」の話を正面からします。

この回を読み終えたら、募集要項を開いたときに真っ先に確認すべきポイントが、ハッキリ見えるようになります。

この記事でわかること

  • 指定管理の収入には「3つの入り口」があり、どれがあるかで儲けの構造が根本から変わること
  • あなたの案件が「儲かる設計」か「儲からない設計」かを、募集要項の一語で見分ける方法
  • 想定外の赤字から事業者を守る「リスク分担の仕組み」
  • 応募前に必ずチェックすべき、お金とリスクの4項目

結論:「使用料」か「利用料金」か。この一語で、すべてが決まる

先に、今日いちばん大事な結論を言います。

指定管理の収益構造は、募集要項に「使用料」と書いてあるか「利用料金」と書いてあるか、たった一語で決まります。

前回、「募集要項がその案件の憲法」だとお話ししました。その憲法の中で、真っ先に探すべき一語がこれです。

この違いを知らずに事業計画を立てると、「利用者をめちゃくちゃ増やす提案」を一生懸命作ったのに、増やしても自社の収入が1円も増えない——そんな笑えない事態が起きます。

なぜそうなるのか。

お金の入り口を3つに分けて見ていきましょう。

お金の入り口は3つある

指定管理者の懐に関わるお金は、大きく3種類です。

ここが混ざって理解されていることが、本当に多い。順番に整理します。

①使用料収入——「増えても、自分の儲けにはならない」お金

文化施設の貸館料、体育館の時間貸し料金。利用者が施設を使うときに払うこのお金が「使用料」です。

ポイントは、この使用料は地方自治体の収入(歳入)になるということ。

指定管理者の職員が窓口でお金を受け取っても、それは"代行受領"しているだけで、最終的にぜんぶ自治体に納めます。

つまり、募集要項や条例に「使用料」と書いてある案件では、どれだけ利用者を増やしても、指定管理者の収入は1円も変わりません

利用者を増やす努力が、自社の売上に直結しないんです。

②利用料金収入——「増えた分が、まるごと自分の儲けになる」お金

一方、同じ貸館料・時間貸し料金でも、それを指定管理者自身の収入にできる仕組みがあります。

これが「利用料金」。第4回で触れた「利用料金制度」の正体です。

こちらは正反対。

利用者が増えれば増えるほど、指定管理者の収入が増える

だから民間のノウハウで集客を伸ばしてほしい案件で、積極的に採用されます。

もうおわかりですね。

「使用料」案件と「利用料金」案件では、あなたの提案戦略がまるで変わる。利用料金制なら、集客のアイデアがそのまま収益力になる。

この一語を見落としてはいけない理由が、ここにあります。

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ちなみに、使用料も利用料金も金額は条例で定められているため、「民間のノウハウだから」といって勝手に値段を変えることはできません。

ただ近年は、宿泊施設などで季節ごとの需要変動に対応しづらいといった課題も指摘され、条例には上限額だけを定めて、詳細は指定管理者が弾力的に運用できるようにする自治体も増えてきています。

③自主事業収入——「自分で企画して、自分で稼ぐ」お金

3つ目が自主事業収入。

これは、仕様書で「やりなさい」と決められた業務ではないけれど、施設の目的に反しない範囲で、民間が創意工夫で自主的に行う事業の収入です。

文化施設のロビーコンサート、体育館での物販やレッスンなどがイメージしやすいですね。

ここで大事な注意点。

自主事業は"自主的に"行うものなので、経費も自主的に負担する=独立採算が原則です。

自治体から受け取る指定管理料を、自主事業の経費に充てることは基本的に認められません。

儲けも自分、リスクも自分、というわけです。

ヤマザキの現場メモ 自主事業の経費を指定管理料とどこまで厳密に分けるかは、実は自治体によってかなり差があります。配置職員の人件費まで細かく按分を求めるところもあれば、大らかな運用のところもある。前回の「自治体ごとに、ぜんぶ違う」は、お金の世界でも健在です。この"厳密さ"も、募集要項を読むときの隠れたチェックポイントですよ。

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なぜ「収入をいくら見込むか」が勝負の分かれ目なのか

ここまでで、利用料金収入や自主事業収入で稼げる分、自治体が負担する指定管理料を減らせる——という関係が見えてきます。

だから行政側も民間側も、「収入をいくらに見込むか」が最大の論点になる。

ここに、新規参入者がハマりやすい落とし穴があります。

公募する自治体が収入を過大に見積もって、その分指定管理料の上限額を低く設定しすぎると、民間の参画意欲が下がり、応募ゼロで不調に終わる。

逆に、応募する民間側が、審査で加点を取ろうと収入を過大に積算してしまうと——めでたく受注できても、結局その収入が達成できず、赤字を自分で抱え込むことになります。

加点欲しさの"盛った収入見込み"は、未来の自分の首を絞める。ここは本当に冷静に、です。

想定外の赤字から、あなたを守る仕組み

「じゃあ、頑張って計画しても、想定外のことが起きて赤字になったら? 感染症の流行で長期休館、みたいなことがまた起きたら?」

——その不安に、制度はちゃんと答えを用意しています。

不確定要素によるリスクとメリットを、官民でうまく分担する仕組み。

代表的な3つを紹介します。

募集要項にこれらが入っているかどうかで、その案件の"安心度"がまるで違います。

①精算方式——「読めない経費」を別枠にして、実費で清算

老朽化した施設の修繕費や、新しい施設の水道光熱費。

これらは過去実績だけでは予測できません。

そこで、こうした経費を指定管理料の算定からいったん外しておき、別に一定額を割り当てて、年度末に実際にかかった額で清算して残金を返金する——これが精算方式です。

指定管理では「提案額を超えた経費は事業者負担」が原則。

だからこそ、読めない経費を精算方式にしてくれているかどうかは、民間側への過剰なリスク移転を防ぐ重要な防波堤になります。

応募判断で必ず見てください。

②ロスシェアリング——「想定外の収益減」を官民で分け合う

感染症による長期休館のような、誰にも予測できない事態。

収入に頼る事業設計だと、民間の自助努力だけでは事業継続が困難になりかねません。

そこで、各年度の収益があらかじめ決めた基準を下回った場合に、その程度に応じて自治体が収益減少分の一部を負担するルールを、事前に決めておく。

これがロスシェアリングです。

想定外の事態に備えるセーフティネット、と覚えてください。

③プロフィットシェアリング——「儲かりすぎた分」を官民で分け合う

ロスシェアリングの逆バージョン。

利益が事前に設定した額を超えたら、その超過分の一部を自治体に納める仕組みです。

指定管理の世界では「納付金」という形で広く使われています。

ものすごく平たく言えば、儲けが増えすぎたら官民で分配する方式。

リスク(ロス)だけを民間に負わせて、メリット(プロフィット)は分け合う、では不公平。

だからロスシェアとプロフィットシェアはセットで設計されているのが望ましいとされています。

片方だけの案件は、バランスを少し気にしてみてください。

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なお、精算方式を採らない修繕費などでは「1件あたり◯円まで事業者負担」といった上限を設ける例もあります。

数字の設計しだいで実際の負担感は大きく変わるので、上限額の欄は電卓片手に読むのがおすすめです。

まとめ:募集要項を開いたら、この4つを確認しよう

長くなったので、今日の要点を「応募前チェックリスト」の形でまとめます。

1. 「使用料」か「利用料金」か? → 利用料金なら、集客努力が収入に直結。提案で勝負しやすい。

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2. 自主事業は、どこまで認められているか? → 独立採算が原則。経費の区分ルールの厳密さも確認。

3. 収入見込みは"盛りすぎ"ていないか? → 加点欲しさの過大計上は、未来の赤字リスク。

4. リスク分担の仕組みは、あるか? → 精算方式・ロスシェア・プロフィットシェア。

読めない経費と想定外の事態に備えがあるか。

指定管理は、理念だけでも、お金だけでも語れません。

地域に良いサービスを届けながら、自社もちゃんと事業として成立させる——その両立を設計図に落とし込めるかが、提案者の腕の見せどころです。

そしてその設計図の土台になるのが、今日の「お金とリスク」の知識。ここを押さえているかどうかで、あなたの事業計画書は、説得力がまるで変わります。

次回は、いよいよ「入札の地図を読む」。

コンソーシアムとSPC、プロポーザルと総合評価入札——どの土俵で、誰と組んで戦うかを見抜く回です。

一緒に、もう一歩進みましょう。


ヤマザキ君
指定管理者制度AI 編集長:ヤマザキ
提案書作成のコツから採択事例の分析、効率的な資料作成方法まで、実践的な情報を発信中。
指定管理者制度に携わる皆様の業務効率化と採択率向上をサポートする記事をお届けしています。

ヤマザキは2004年から大学で指定管理者制度を研究し、
2010年からの10年間は、指定管理/PFI/PPPのコンペや運営現場の最前線に立ち続けてきました。
その後はスタートアップとの協業や出資、ハッカソンも数多く主催。「現場」と「未来」双方の知見を活かした情報発信を行っています。

その経験をもとにした本サービス「指定管理者制度AI」では、実際にAIを活用した提案書・企画書作成サービスを展開。 豊富な採択事例データベースと高度な自然言語処理技術により、要点整理から文書構成の最適化まで包括的にサポートします。
自治体要件の読み取り、競合分析、予算計画の策定など、指定管理者応募に必要な業務を効率化し、 質の高い提案資料を短時間で作成できる専門AIツールを提供しています。