
NotebookLMの進化が変える公共施設管理の現場 〜資料作成業務はどう変わるのか〜
【NotebookLM革命】2025年11月、Googleの実験的AIツールが資料作成を一変。年度報告書やマニュアルから、議会報告用スライドやプロレベルの図解を全自動で生成します。ChatGPT/Geminiと異なり、アップロード資料内の情報のみを使用し、出典を明示する「嘘をつかない」信頼性が公的業務に最適。徹夜でのパワポ作成から解放され、「8割AI、2割人間」の分業体制へシフト。公共施設管理の現場で役立つAI活用術と、明日から始める第一歩を解説します。
公開日2025/12/10
目次
会議室で、上司がこう言う。
「明日の委員会で今年度の成果報告するから、スライド作っといて」
時計を見ると、もう夕方5時。 年度報告書は50ページ。 Excel集計表は10シート。 パワポのテンプレートを開いて、深呼吸して、覚悟を決める。
「今日も終電コースか…」
知ってますか? この光景が、もう過去のものになりつつあるんです。
Googleの実験的AIツール「NotebookLM」が2025年11月、とんでもない進化を遂げました。 読み込ませた資料から、スライドも図解も、全自動で"完成品"を作り出せるようになったんです。
この記事でわかること
- NotebookLMが公共施設管理の現場で「使える」理由
- 資料作成業務がどう変わるのか、具体的なシーン
- 実際に使う上での注意点と制約
- これから求められる「人間の仕事」とは何か
- 明日から始められる第一歩
NotebookLMという"実直すぎる秘書"
まず押さえておきたいのは、NotebookLMの根本的な設計思想。
ChatGPTやGeminiは「物知り博士」です。 何でも知ってるし、アイデアもバンバン出してくれる。
でもその代わり、知らないことでも「もっともらしい嘘」をつくことがある。 「この資料に基づいて回答して」と頼んでも、勝手に外部の知識を混ぜてしまう。
NotebookLMは違うんです。
「渡された資料しか知らない、実直すぎるAI秘書」──これが本質。
アップロードした資料の中身だけを使って答える。 そして必ず「資料のこの部分に書いてありました」と出典を示してくれる。
資料に書いていないことは、きっぱり「わかりません」と答える。
なぜ公共施設の現場で"刺さる"のか
私たちは日常的に、嘘が許されない情報を扱っています。
条例、指定管理協定書、避難マニュアル、設備の保守点検記録。
AIが勝手に外部知識を混ぜて「それっぽい回答」を作ってしまったら? 契約条項を間違えて解釈されたら?
致命的ですよね。
NotebookLMの「知らないことは知らない」という姿勢。 この誠実さこそが、公的業務での信頼性を担保してくれるんです。
上司から「この50ページのマニュアル読んどいて」と言われたとき。 全部放り込んでおけば、必要なタイミングで「◯◯のやり方教えて」と聞くだけ。 該当ページの情報だけを、正確に教えてくれる。
マニュアル読むのが拷問だと思ってる人(私もです)には、革命的なツールなんです。
2025年11月、何が起きたのか
今回追加されたのは「アウトプットの全自動化」。
資料をアップロードして指示するだけで:
- プレゼン用スライド一式
- 図解(インフォグラフィック)
デザイン、画像、テキスト、構成。 すべて整った「完成品」が出てくる。
しかも使い方は驚くほどシンプルでした。 資料をアップロードして、メニューから「スライド生成」を選ぶだけ。
これだけで、AIが資料の内容を解析し、最適な構成とデザインで出力してくれる。
日本語の"呪文問題"が解消された
AIが作る画像って、文字が謎の呪文みたいになること、ありましたよね。
「AI特有の文字化け」──この問題がかなり解消されたんです。
Googleの最新技術「Imagen 3」が搭載されて、日本語の描写精度が段違いに向上しました。 複雑なグラフも、漢字も、驚くほどクリアに描画される。
実際に使ったユーザーからは「学術論文を読み込ませたら、10分で論理構成が完璧な15枚のスライドができた」という声が上がっています。
15枚ですよ。 構成案だけじゃなく、画像やデザインまで整っているものが。
公共施設の現場で、こう変わる
具体的なシーンで考えてみましょう。
シーン①:議会報告資料の急な依頼
冒頭のあのシーンです。 「明日の委員会で今年度の事業成果を報告するスライド、今日中に作って」
従来の対応
年度報告書を読み返す。
Excel集計表を確認する。
深夜までパワポと格闘する。
翌朝、目の下にクマを作りながら提出。
NotebookLM活用後
年度報告書PDFと月次データをアップロード。
「議会報告用に15枚程度のスライドを作成」と指示。
10分で構成済みスライドが完成。
人間は数値の最終確認と調整のみ。
徹夜での「スライドのデザイン調整」という崇高な業務が、数分の待ち時間に置き換わるんです。
シーン②:施設利用マニュアルの確認業務
新人スタッフから聞かれます。 「大規模イベント時の警備体制ってどうなってましたっけ?」
従来の対応
50ページの施設管理マニュアルをめくって該当箇所を探す。
「えーっと、確か第3章の…どこだっけ…」
NotebookLM活用後
マニュアルPDFを事前にアップロード済み。
「大規模イベント時の警備体制を教えて」と質問。
該当ページの情報を出典付きで即回答。
マニュアルが分厚ければ分厚いほど、威力を発揮します。
シーン③:広報用インフォグラフィック作成
SNSで今年度の施設利用状況をビジュアルで発信したい。
従来の対応
デザイナーに外注するか(予算がないとできない)。
自分でパワポの図形を駆使するか(デザインセンスに自信がない)。
NotebookLM活用後
事業報告書をアップロード。
「インフォグラフィック」をクリック。
プロレベルの図解が数分で完成。
長文レポートを1枚の画像でサマリーしてシェアしたいとき。 プロのデザイナーに頼む手間とコストを、一瞬で代替できるレベルに達しています。
過信は禁物──使う上での注意点
ここで忖度なしの注意点をお伝えします。
制約①:出力はPDF形式
現状、生成されるスライドはPDF形式。 PowerPointのようにテキストを直接編集することはできません。
画像として出てくる、ってことです。
だから、使い方は2つに割り切る必要があります:
- 「完成品」としてそのまま使うか
- あくまで「構成とデザインの参考(下書き)」として使うか
この割り切りができないと、「修正できないじゃん!」とイライラすることになります。
制約②:100%完璧ではない
Googleの最新技術といえど、まだ完璧ではありません。
たまに漢字の書き間違いがあったり、内容を少し「盛って」しまうことがある。
人間の最終チェックは必須です。
特に公的文書として使用する前は、数値や固有名詞を入念に確認してください。 条例の条文番号が間違ってたら、シャレになりませんからね。
NotebookLMの2つの最強の武器
公共施設管理の現場でNotebookLMが輝く理由は、2つの武器にあります。
武器①:Googleドライブとの連携
もしGoogleドライブで社内文書を管理している会社であれば、
NotebookLMは直接ドライブから資料を読み込めるんです。 既存の情報管理システムにスムーズに統合できる。
社内資料を集積しやすい──これが地味に強い。
武器②:「嘘をつかない」信頼性
公的業務では「正確性」が何よりも重要。
NotebookLMは渡された資料にない情報は「わかりません」と明言する。 条例や契約書など、嘘が許されない場面での事実確認に最適なんです。
この2つの武器の組み合わせ。 これこそが、私たちの現場で「使える」と感じる理由なんです。
仕事はなくならない。変わるだけだ
「AIに仕事を奪われる」──そういう不安、ありますよね。
でも私はこう思うんです。 仕事はなくならない。変わるだけだ、って。
従来の仕事
資料をゼロから作ることに時間を費やす
これからの仕事
AIが出した8割完成の資料をチェックして仕上げる
具体的には:
- AIの役割: 膨大な資料の分析、構成案の作成、デザインの下書き(8割)
- 人間の役割: 内容の正確性確認、地域特性の反映、最終判断(残り2割)
人間は本来注力すべき「施設運営の質的向上」「利用者対応」「地域との関係構築」といったクリエイティブな業務に時間を使えるようになる。
「8割の完成度までの下書き」はAIに任せる。 人間は「残り2割の仕上げと意思決定」に集中する。
これが、これからの賢い働き方だと思うんです。
徹夜でパワポの文字サイズを揃えることに、あなたの人生の時間を使う必要はない。 その時間で、もっと大切なことができるはずだから。
明日から始める第一歩
まずは次のような資料をNotebookLMにアップロードしてみてください:
①施設管理マニュアル
→ 日常の疑問に即答するAI秘書として
②過去の事業報告書
→ 急な資料作成依頼時の下書き生成に
③月次の活動記録
→ 定期報告のスライド自動生成に
重要なのは「完璧を求めない」こと。
まずは下書き作成ツールとして使い始める。 徐々に活用の幅を広げていく。 それが賢明なやり方だと思います。
NotebookLMは無料で利用できます。 Googleアカウントがあれば、誰でも使える。
騙されたと思って、溜まっている報告書を放り込んでみてください。 その便利さに、きっと驚かれるはずです。
🧩 3行まとめ
- NotebookLMは「嘘をつかない」信頼性と「Googleドライブ連携」で公的業務に最適
- 資料作成業務は「8割AI、2割人間」の分業体制へシフトしていく
- まずは下書き生成ツールとして使い始め、徐々に活用の幅を広げよう
資料作成業務の革命は、もう始まっています。
膨大な社内資料から、正確なスライドや図解を一瞬で生成する。 それが当たり前になる時代は、もう目の前です。
「AIに仕事を奪われる」のではなく、「AIを味方につけて、本当に価値ある仕事に集中する」。
この視点の転換が、これからの私たちには求められている。
そんな第一章の幕開けでした。

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ヤマザキは2004年から大学で指定管理者制度を研究し、
2010年からの10年間は、指定管理/PFI/PPPのコンペや運営現場の最前線に立ち続けてきました。
その後はスタートアップとの協業や出資、ハッカソンも数多く主催。「現場」と「未来」双方の知見を活かした情報発信を行っています。
その経験をもとにした本サービス「指定管理者制度AI」では、実際にAIを活用した提案書・企画書作成サービスを展開。 豊富な採択事例データベースと高度な自然言語処理技術により、要点整理から文書構成の最適化まで包括的にサポートします。
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