
AIを「使われる側」から「使いこなす側」へ。指定管理事業者が今すぐ知るべき「プラットフォームの真実」
「便利なツール」の裏で、あなたの会社の価値が流出している――MicrosoftのCEO、サティア・ナデラが警告する「AIの正しい使い方」とは? ChatGPTに丸投げする指定管理事業者は、知らぬ間に独自ノウハウをテック企業に移転している。「使われる側」から「使いこなす側」へ。自社の主権を守り、AI時代に勝ち残るための戦略を徹底解説。
公開日2025/12/03
目次
気づいたら、あなたの会社の価値は"外部"に流出している
ある日、営業部長のあなたは、部下からこんな報告を受けました。
「部長、提案書作成、今回もChatGPTに任せました。めちゃくちゃ楽で、3時間で終わりましたよ!」
「おお、それはいいな」と答えながら、あなたは心のどこかで、小さな違和感を覚えました。
確かに効率は上がった。
でも、この「楽になった」という感覚の裏側で、何か大切なものが失われていないだろうか――。
その違和感は、正しい。
MicrosoftのCEO、サティア・ナデラが2025年11月に発信したメッセージは、まさにこの問題の核心を突いています。
上のメッセージには、いろいろなことが書かれているのですが、個人的に一番ささっている内容は、
「企業にとって本当に重要なのは、AIをどう自分の力にできるか。自らのAIネイティブ能力を構築し、企業価値を高めることだ。逆に懸念すべきは、自社の独自価値をテック企業に"移転"してしまうことである」
というポイントです。
あなたの会社は今、AIを「使いこなす側」にいますか?
それとも、知らず知らずのうちに「使われる側」に回っていませんか?
この記事でわかること
- サティア・ナデラが警告する「価値の移転」とは何か
- 指定管理事業者が陥りやすい「AIの誤った使い方」の具体例
- 「プラットフォームの本質」を理解し、自社の価値を守る方法
- AI時代に指定管理事業者が持つべき「ゼロサムからの脱却」思考
- 今すぐ始められる「AIネイティブ能力」の構築ステップ
「便利なツール」の裏で起きている、恐ろしい現実
あなたの会社の"知"が、外部に流出している
サティア・ナデラの警告を、指定管理の現場に置き換えて考えてみましょう。
たとえば、こんな使い方をしていませんか?
❌ 危険な使い方:
- ChatGPTに「〇〇市の体育館の提案書を書いて」と丸投げする
- 過去の提案書をそのままAIに読み込ませ、リライトさせる
- 自治体の課題分析を全部AIに任せる
- イベント企画のアイデアをAIから受け取るだけ
一見、効率的に見えます。でも、これはあなたの会社の独自価値を、OpenAIやAnthropicに移転していることと同じなんです。
なぜか?
あなたの会社が長年培ってきた「地域理解」「施設運営のノウハウ」「自治体との信頼関係」といった独自資産を、AIに入力することで、それがデータとしてプラットフォーム側に蓄積されていくからです。
そして、そのデータをもとに、AIはさらに賢くなる。
結果、どうなるか?
あなたの会社がいなくても、AIだけで提案書が書けるようになってしまう。
これが、ナデラの言う「価値の移転」です。
「プラットフォーム」の本質を理解していますか?
ナデラは、ビル・ゲイツの言葉を引用しています。
「プラットフォームとは、それを使う人々の経済価値の総和が、そのプラットフォームを作った企業の価値を上回るときに初めて成立する」
つまり、真のプラットフォームは「使う側のほうが、より大きな利益を得る」構造を持っているということ。
でも、考えてみてください。
あなたの会社は、ChatGPTやClaudeを使って、OpenAIやAnthropicより大きな価値を生み出していますか?
もし答えが「NO」なら、あなたは「プラットフォームに使われている側」です。
逆に言えば、AIを正しく使えば、テック企業が得る利益以上の価値を、あなたの会社が手にすることができるんです。
そのためには、「AIを使う」のではなく、「AIを自社のビジネスに組み込む」という発想の転換が必要になります。
指定管理事業者が今すぐ始めるべき「AIネイティブ能力」の構築法
ステップ①:「汎用AI」から「自社専用AI」への進化
まず、やるべきことは明確です。
ChatGPTやClaudeを「そのまま使う」のをやめて、「自社専用のAIシステム」を構築することです。
「そんな技術力、うちにはないよ…」と思いましたか?
大丈夫です。 難しいプログラミングは不要です。
具体的な方法:
-
Claude ProjectsやNotebookLMを使い、自社の知識を「プライベートデータベース化」する
- 過去の提案書、自治体ヒアリングメモ、施設運営マニュアル、成功事例を全て入力
- これにより、「あなたの会社だけが持つ知識」をベースにAIが回答するようになる
-
自社専用のプロンプトテンプレートを作る
- 「〇〇市の提案書を書いて」ではなく、「〇〇市の地域特性(高齢化率、観光資源、過去の議会議事録)を踏まえ、当社の強み(△△)を活かした提案書を作成せよ」という詳細な指示書を作る
-
AIに学習させるのではなく、AIを「道具として使いこなす」設計にする
- AIに判断を委ねるのではなく、人間が戦略を決め、AIに実行させる
こうすることで、あなたの会社の独自価値は外部に流出せず、社内に蓄積されていきます。
ステップ②:「正の和」思考で、市場全体を拡大する
ナデラは言います。
「AIによって"カテゴリーそのもの"が拡張する。AIは産業構造を再定義し、市場全体のパイを拡大する『正の和』ドライバーだ」
これは、指定管理業界にとって、革命的な視点です。
従来、指定管理の世界は「ゼロサム」でした。
- 契約を取れるのは1社だけ
- コスト削減競争で疲弊する
- 他社を蹴落として生き残る
でも、AIの登場で、この構造が変わります。
AIを使えば、これまで「コストが合わなくて諦めていた提案」に参加できるようになる。
たとえば:
- 遠方の自治体の案件に、移動コストをかけずに提案できる(AIで地域分析を効率化)
- 小規模施設の案件でも、提案書作成コストを抑えられる(AIで下書き作成)
- 複数の案件に同時並行で提案できる(AIで業務効率化)
結果、**「指定管理の市場そのものが拡大する」**んです。
これまで誰も手を出さなかった案件に、複数の事業者が参入できる。自治体にとっても、選択肢が増える。
これが「正の和」です。
ステップ③:「ゼロサム思考」から脱却し、自社の主権を取り戻す
ナデラの投稿で、最も重要なのは、この一文です。
「各社が自らの領域で成功できるAI活用の仕組みを整えるべき。そして、各社が自らの運命と主権をコントロールできるようにすべきだ」
指定管理事業者の多くが、今、こう考えています。
「AIで効率化すれば、人を減らせる。コストが下がる。利益が出る」
でも、それは「ゼロサム思考」です。
本当の勝ち方は、こうです:
「AIで効率化した時間を、新しい価値創造に投資する。地域との関係を深める。自治体との信頼を強化する。結果、次の契約も取れる」
AIは、単なるコスト削減ツールではありません。
「あなたの会社が、地域にとってなくてはならない存在になるため」のツールなんです。
そのために、AIをどう使うか。
それを決めるのは、あなたです。
「より大きな夢と野心」を、AIは可能にする
ナデラは、こう締めくくっています。
「AI時代は『より大きな夢と野心』を可能にする。AIは単に業務効率化のツールではなく、社会全体の野心の再定義を促す技術だ」
あなたには、夢がありますか?
「地域の子どもたちに、最高のスポーツ環境を提供したい」
「高齢者が安心して集える場所を作りたい」
「この施設を、街のシンボルにしたい」
そんな夢を、これまであなたは「予算がない」「人手が足りない」という現実の前に、諦めてきたかもしれません。
でも、AIがあれば、その夢に近づけます。
AIで提案書作成時間を短縮し、その時間を地域住民との対話に使う。
AIでデータ分析を効率化し、その結果をもとに新しいイベントを企画する。
AIで事務作業を自動化し、その余力でスタッフの育成に投資する。
これが、AI時代の指定管理事業者の姿です。
まとめ:あなたの会社は、AIに「使われる」のか、AIを「使いこなす」のか
サティア・ナデラの警告は、明確です。
「自社の独自価値を、テック企業に移転してしまうな」
指定管理事業者にとって、これは今、最も重要なメッセージです。
AIを「便利なツール」として使うだけなら、あなたの会社の価値は、OpenAIやAnthropicに流れていきます。
でも、AIを「自社の戦略的資産」として組み込めば、あなたの会社は、地域にとって、自治体にとって、なくてはならない存在になれます。
選択肢は、2つ。
「AIに使われる側」に甘んじるのか。
それとも、「AIを使いこなす側」として、新しい未来を切り拓くのか。
答えは、あなたが決めます。
そして、その決断を下すために必要な知識とノウハウを、この「指定管理制度AI」サイトは提供し続けます。
AIは、あなたの会社の価値を奪うためにあるのではありません。
あなたの会社が、より大きな夢を実現するためにあるんです。
さあ、今日から、「使いこなす側」に回りましょう。

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ヤマザキは2004年から大学で指定管理者制度を研究し、
2010年からの10年間は、指定管理/PFI/PPPのコンペや運営現場の最前線に立ち続けてきました。
その後はスタートアップとの協業や出資、ハッカソンも数多く主催。「現場」と「未来」双方の知見を活かした情報発信を行っています。
その経験をもとにした本サービス「指定管理者制度AI」では、実際にAIを活用した提案書・企画書作成サービスを展開。 豊富な採択事例データベースと高度な自然言語処理技術により、要点整理から文書構成の最適化まで包括的にサポートします。
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