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【実況中継/DL可】指定管理者の提案書をAIで作成する方法──熊本県伝統工芸館の公募で3時間半で完成させた全手順

【実況中継/DL可】指定管理者の提案書をAIで作成する方法──熊本県伝統工芸館の公募で3時間半で完成させた全手順

指定管理者の事業計画書をAIで3時間半で作成した全記録を公開。熊本県伝統工芸館の実際の公募案件で、NotebookLMとGemini Deep Researchを活用し、現職優位の「無理ゲー案件」を攻略する具体的手順を完全解説。7つの情報収集ステップ、戦略的プロンプト、実際に生成した5万字の提案書テキスト版も無料ダウンロード可能。もう徹夜も諦めも不要です。

公開日2025/11/25

目次

【完全実況/DL可】指定管理者の提案書を3時間半でAI作成──熊本県伝統工芸館の公募で実証した「勝てる提案書」の全手順
はじめに──「どうせ無理」と諦めていた、あの日の自分へ
第1章:「聖域案件」にこそ、逆転のチャンスがある
私が体験した、奇跡のような本当の話
なぜ「無理ゲー」を突破できたのか
これは単なるラッキーなのか?
第2章:AIを使った超実践的な情報収集術──7つの武器を揃える
なぜ「情報収集」が勝敗を分けるのか
ステップ1:NotebookLMにアクセスして基礎資料をアップロード
ステップ2:Gemini Deep Researchで自治体を徹底分析
📌 依頼内容と目的
🔍 必須調査項目
💡 戦略的分析項目
ステップ3:施設の歴史と現状を徹底分析
📌 依頼内容と目的
🔍 必須調査・分析項目
ステップ4:現指定管理者の戦略を解剖する
📌 依頼内容
🔍 分析項目
ステップ5:市民の声・SNS分析
📌 依頼内容
🔍 必須調査項目
ステップ6:非公式情報のサマリー化
📌 依頼内容
🔍 必須分析項目
ステップ7:会社情報のアップロード
ここまでで発見した3つの決定的な気づき
第3章:AIに任せてはいけない「制約条件」の作り方
制約条件こそが、AIの出力品質を決める
なぜ人力で作ったほうがいいのか
作成すべき「前提資料」
AIを「超優秀な新入社員」として扱う
第4章:「獲得戦略」と「運営理念」を練り上げる
ステップ1:獲得戦略をAIと一緒に考える
📌 依頼内容と目的
🔑 ステップ1:提案の核となる「戦略的ポジショニング」の特定
🔑 ステップ2:具体的事業計画と収支の連動
🔑 ステップ3:審査員を納得させる「メッセージ」の構成
ステップ2:運営理念と運営方針を策定する
📌 依頼内容と目的
🔑 ステップ1:記憶した情報から解決すべき「核心的な課題感」の特定
🔑 ステップ2:課題解決を実現する「最上位の運営理念」の設定
🔑 ステップ3:運営理念を具現化する「運営方針」の設定
第5章:事業計画書を章ごとに生成させる
文章のお作法をAIに学習させる
🧱. 構成ルール
🪶. 表現ルール
章ごとに出力を依頼する
第6章:作成した事業計画書(テキスト版)を無料ダウンロード
3時間半で完成した事業計画書を公開
実際の事業計画書をダウンロードできます
これは「たたき台」です
まとめ:指定管理者の提案書作成でAIを活用する完全手順
情報収集フェーズ(7ステップ)
制約条件設定フェーズ(人間の仕事)
戦略策定フェーズ
出力フェーズ
おわりに──「出す」ことが、すべての始まり
もう一度、あの日の話をさせてください
あなたに伝えたいこと

【完全実況/DL可】指定管理者の提案書を3時間半でAI作成──熊本県伝統工芸館の公募で実証した「勝てる提案書」の全手順

はじめに──「どうせ無理」と諦めていた、あの日の自分へ

指定管理事業者のみなさん、こんにちは。 指定管理者制度AI編集長のヤマザキです。

「また公募か…でも、これは無理だな」

募集要項のPDFを開いた瞬間、そんな言葉が頭をよぎったこと、ありませんか?

分厚い仕様書、過去の評価報告書、収支計画のExcelシート。それらを読み込んで、行政が何を求めているのか探り当てて、説得力のある提案書に仕上げる。この作業、正直めちゃくちゃ大変です。

しかも今回のターゲットは、熊本県伝統工芸館の指定管理者公募

現在の指定管理者は、一般財団法人熊本県伝統工芸館。つまり、施設名と同じ名前の地元団体です。

こういう案件、皆さんも見たことありますよね。

要するにほぼ勝てない案件です。

私が上司だとして、部下がこの案件に出たいといって持ってきたら、一喝ものの案件です。最初に資料を見た時、私の頭の中にも「勝てるわけないだろ」という言葉が浮かびました。

  • 運営管理者の名前と施設名がイコールなだけあって、いろいろ背景ありそう
  • 地元で長年運営してきた団体だから、人脈もノウハウも実績もある
  • しかも伝統工芸という専門性の高い分野
  • 新規参入組が勝つのは、普通に考えたら厳しい

出ない理由は数え上げればキリがない。そんな案件です。

でも、私はこの記事で、あえてこの「無理ゲー案件」に挑戦しました。

なぜか?

それは、AIで効率よく提案書を作れるのなら、

  • 勝率薄いし、
  • リソースも不足してる

みたいな理由で、見送ってきたこういう**「無理ゲー案件」にこそ応募してみてほしい**。そんな思いからです。

この記事を読めば、こんなことがわかります:

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  • 指定管理者の提案書作成にAIを活用する超具体的な手順
  • NotebookLMとGemini Deep Researchを使った徹底的な情報収集術
  • AIに行政の「本当の要望」を見つけさせる戦略的プロンプト
  • 事業計画書を3時間半で完成させる7つのステップ
  • 人間が判断すべきこと、AIに任せるべきことの明確な線引き
  • 実際に生成した事業計画書のテキスト版(ダウンロード可能)

それでは、始めましょう。


第1章:「聖域案件」にこそ、逆転のチャンスがある

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私が体験した、奇跡のような本当の話

実は、私にも実体験があります。

場所は某特別区内。区内スポーツ施設一括管理案件。

現在の指定管理者は、超大手運営企業+維持管理企業+地元体育協会+地元ビル管理組合という、完璧すぎる布陣。

公募説明会に行きましたが、現指定管理者以外の競合他社はほぼ誰もいませんでした。

区内スポーツ施設一括管理なので、指定管理案件の中ではトップクラスの経済規模なはずなのに。

なぜ誰も来ないのか?

答えは明白でした。

体育協会が入っているということは、自治体の税金を使うという意味でも意義があるし、地元の雇用にもつながる。だから自治体としてはまず受託させたい。でも運営能力が乏しいから、大手と組ませてそこを担保する。そうなると担当課としてもうれしいし、利用者としてもうれしい最強スキーム。それに地元ビルメン組合もくっついてきて、さらに地元色が強くなる。

そんなチームで来られたら、外部から突っ込んでも絶対勝てない。

これは、指定管理事業者なら誰しもが思う常識だと思います。

でも、私はこの案件をゲットすることができました。

そして、会社に年額二桁億円の売り上げを上乗せすることができたんです。

なぜ「無理ゲー」を突破できたのか

なぜこんなことができたかというと、私が無理して提案書を書き上げたからです。

当時の上司は「出さなくていい」と言っていました。

でも、私はどうしてもチャレンジしたくて、数日徹夜して勝手に事業計画書を書き上げたんです。

書き上げた提案書を上司に見せたら、

「まあ、せっかく書いたなら出してもいいよ。どうせ勝てないとは思うけど…」

とのコメントを引き出し、無事に提出することができました。

そして、提出後にわかったことですが、

  • 長年の運営関係の中で、現指定管理者におごりがあった
  • そのおごりからくる姿勢に、担当課は不満があった
  • 指定管理者の姿勢は、体育協会にも不満を蓄積させていた

といった背景があることが判明したんです。

つまり、自治体にいい提案ができれば勝てるって案件だったってことです。

そして、晴れてその後、指定管理者になることができ、いまでもその案件は私のいた会社で運営されています。

これは単なるラッキーなのか?

答えはNOです。

まず、提出したこと。これがすべてのはじまりです。

提出するまでの労力を割いたこと。これが勝利の要因です。

そう、提案書を出す

それさえしておけば何かが起きる。それが指定管理業界なのです。

AIを使って提案書作成を効率化できれば、そういった動きをたくさんできます。

出したいけど、書き手のリソースが追いつかなくて断念する。そんな風にして、案件をスルーする。

そんなことは今後一切ないようにしましょう。


第2章:AIを使った超実践的な情報収集術──7つの武器を揃える

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なぜ「情報収集」が勝敗を分けるのか

指定管理者の公募資料って、めちゃくちゃ多いんですよね。

  • 募集要項(30ページ)
  • 仕様書(50ページ)
  • 過去3年分の事業報告書(各40ページ)
  • 利用実績データ(Excelシート複数)
  • 評価報告書(20ページ)

これ、人間が全部読み込んで分析しようと思ったら、何日かかるでしょうか。

でも、AIなら数分です。

ただし、AIに丸投げするのではなく、戦略的に情報を与えていくのがポイントです。

私は、情報収集を7つのステップに分けて、徹底的に行いました。

ステップ1:NotebookLMにアクセスして基礎資料をアップロード

NotebookLM(Googleの無料AIツール)にアクセス

Googleアカウントがあればログイン可能です。 職場でGoogle Workspaceを使っていればそのまま使えます。 「NotebookLM」と検索するか、画面右上の●9つあるアイコンからもアクセスできます。

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全てのPDFファイルをアップロード

NotebookLMの画面の左側にファイルをアップロードできます。

下の画像のソースを追加をクリックします。

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これがNotebookLMの真骨頂で、ここからの情報をもとにAIが指示したものを生成してくれるようになります。なので、ここで何を学ばせるかが超大事です。

まずアップロードすべき資料:

  • 募集要項
  • 仕様書
  • 過去の事業報告書
  • 利用実績データ
  • 評価報告書
  • 応募ページに置いてある全ての資料

ステップ2:Gemini Deep Researchで自治体を徹底分析

次に、Gemini(GoogleのAI)のDeep Research機能を使って、自治体のことを徹底的に調べてもらいます。

GminiもNotebookLMと同じところに入口があります。 もちろん直接Geminiとググるのもアリです。

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Geminiの入力画面の下にあるツールをクリックするとタブが出てきます。 そのタブからDeep Reserachを選択します。

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入力欄より指示をします。 人口動向、開発状況、地域の企業や団体、観光資源、生産物などを調べてもらいましょう。 リサーチ開始をクリックします。

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プロンプト例:

あなたは、Big4コンサルティングファーム出身の、伝説的な凄腕PPP/PFIコンサルタントです。



 目的:【熊本県】が公募する【熊本県伝統工芸館の指定管理者】において、審査基準を明確に突破し、審査員からの最高評価を勝ち取るための戦略的かつ包括的なレポートを作成してください。



 人口動態と将来推計:年齢別人口構成、社会移動、将来の労働力・利用者層への影響分析
 熊本県の歴史・文化とアイデンティティ:施設が地域に持つ歴史的・文化的意義
 都市開発・インフラ状況:近隣の開発計画との相乗効果分析
 観光資源と誘客力:既存資源との連携可能性、ターゲット市場の特定
 経済基盤と産業構造:主要産業、地元企業の活動状況
 教育・研究資源:大学や研究機関との連携可能性
 活発な地域団体・NPO:主要な活動団体のリストアップ



 自治体財政分析:過去5年間の動向、投資余力と優先順位
 行政課題と首長の公約:総合計画、重要政策との整合性
 競合・類似施設の動向:近隣自治体の成功/失敗事例
 住民意識調査:住民の潜在的な不満や期待

あなたの持つ全知見と分析能力を投入し、最高のレポート作成を期待します。

このレポートをPDF化してNotebookLMにアップロードします。

共有とエクスポートをクリックすることで、GoogleDocsに変換できます。 そこから、PDFに変換できます。

指定管理者notebooklm

そして実際に出てきた資料がこちら!

📊 AIが出力した調査資料はコチラ!

調査資料をチェックすると、収支計画書が常識外れな数値になっています。 ここは修正を依頼したほうがよさそうです。 プロンプトで指摘して、修正させましょう。

ステップ3:施設の歴史と現状を徹底分析

次に、施設そのものについて徹底的に調べてレポート化してもらいます。

プロンプト例:

あなたは、Big4コンサルティングファーム出身の、施設特化型PPP/PFIコンサルタントです。



 対象案件:熊本県伝統工芸館の指定管理者公募
 目的:施設の現状の課題と未活用ポテンシャルを徹底的に洗い出す



 施設概要と物理的ポテンシャル
 施設の歴史と設立理念
 過去5年間の主要事業・イベント分析
 連携団体・パートナーシップ分析
 財務・収支構造の分析
 サービスの質と顧客満足度
 DXの機会
 法的・制度的リスク


 施設の稼働率を明確化し、空き時間、空き施設を特定
 イベントの成功要因・失敗要因を定性的・定量的に分析

このレポートもPDF化してアップロードします。

ステップ4:現指定管理者の戦略を解剖する

次に、現在運営している団体の情報を徹底的に調べます。

敵を知り、己を知れば百戦危うからず、ですね。

プロンプト例:

あなたは、Big4コンサルティングファーム出身のインテリジェンス専門コンサルタントです。



 企業名:一般財団法人熊本県伝統工芸館
 対象施設:熊本県伝統工芸館



 企業ホームページ徹底調査
 経営理念/ビジョン
 指定管理事業の位置づけ
 トップメッセージ

 事業内容とイベントの深掘り
 定常事業とターゲット層
 独自イベント・企画の分析

 行政からの評価の獲得
 事業報告書、評価委員会資料からの抽出
 特筆すべき評価点
 改善要求/課題点

 他自治体での受託案件と評価

 総合的な戦略分析
 強み3点
 弱み3点(我々が付け入る隙)

このレポートもPDF化してアップロードします。

ステップ5:市民の声・SNS分析

次に、インターネット上の口コミやSNSから、施設に対する住民・利用者の本音を抽出します。

プロンプト例:

あなたは、Big4コンサルティングファーム出身のデータマイニング専門家です。



SNS、Google Mapsの口コミ、地域掲示板、議会の答弁議事録から、施設に対する住民・利用者の本音を抽出



 ポジティブ評価の分析(強みの特定)
 ネガティブ評価の分析(潜在的不満の特定)
 利用者属性と言及プラットフォームの分析
 競合施設との比較分析
 キーワードの感情分析
 口コミ改善戦略の提案
 口コミを活用した事業提案

このレポートもPDF化してアップロードします。

ステップ6:非公式情報のサマリー化

説明会や地元、担当課からヒアリングした内容や、議事録メモなどもサマリーしてPDF化してアップロードします。

プロンプト例:

あなたは、Big4コンサルティングファーム出身のインテリジェンス専門コンサルタントです。



公募要領には記載されない非公式情報を整理し、以下を明らかにする:
 自治体担当者の本音の不満点
 地元関係者が最も懸念・期待していること
 審査で非公式に重視されるポイント



 自治体担当課の「本音の課題」
 地元・地域関係者の意向
 過去の経緯とリスク
 致命的なリスクの明確化
 提案へのフィードバック
 質問対応戦略

ステップ7:会社情報のアップロード

最後に、自社の情報もアップロードします。

  • 自社の事業計画書
  • 他施設の運営実績
  • 会社のパンフレット

これらのデータをPDF化してアップロードします。

ここまでで発見した3つの決定的な気づき

この徹底的なリサーチの中で、AIが発見してくれた大きな気づきが3点ありました。

発見①:デジタル対応への行政の不満

令和3年度の運営評価報告書に、こんな記述がありました。

「今後はECサイトの促進やSNS等の活用など販売力強化に向けた取り組みを実施する必要がある」

これ、普通に読むと「今後の課題」くらいに思えるかもしれません。

でも、行政文書の世界では、これは明確な不満表明なんです。

「必要がある」という表現は、「現状できていない」という批判であり、「次の指定管理者には必ずやってほしい」という期待です。

発見②:施設利用率1.1%という「宝の山」

AIに施設の利用実績データを分析させたところ、衝撃的な数字が浮かび上がりました。

2階会議室の利用率:1.1%

年間でたった1.1%ですよ。ほぼ使われていない。

審査基準を見ると、最高配点(35点)は「施設の効用を最大限に発揮させるもの」という項目でした。

この1.1%の会議室をどう活用するかが、この公募の最大の勝負ポイントだ。

とはいえ、さすがに1.1%っていうのは他と比較してありえない数字なので、なんか裏に事情があるような気がします。

これは次回の質問で確認しよう、と勘を働かせることができます。

これが人間のなせる業ですよね。

発見③:基準価格という絶対制約

基準価格:5年総額386,812千円(税込)。これを1円でも超えたら失格。

どんなに素晴らしい提案でも、予算オーバーなら即アウト。これは人間がしっかり管理しなければならない絶対制約です。


第3章:AIに任せてはいけない「制約条件」の作り方

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制約条件こそが、AIの出力品質を決める

ここまでで、膨大な情報をNotebookLMに読み込ませました。

でも、ここで多くの人が勘違いするポイントがあります。

「これで『提案書を書いて』って頼めばいいんでしょ?」

違います。それでは勝てません。

AIは制約条件が超大事なんです。

特に、以下のような**「数字と現実が絡む部分」**は、人間が先に作っておく必要があります。

  • 収支計画書の詳細(人件費、管理費の積算)
  • 人員配置数とシフト表(実際に回せる体制か)
  • ワークスケジュール(現実的なタイムラインか)
  • 維持管理計画の詳細(具体的な作業内容と頻度)

なぜか?

AIに制約条件を与えないと、無限に自由に考えちゃうからです。

このあたり、ちゃんと定義していた方が質は上がります。

なぜ人力で作ったほうがいいのか

もちろん、多くの前提条件を丁寧にプロンプトで組み立てれば、AIにこれらを作らせることもできなくはないです。

でも、はっきり言います。

そこまでやるなら、資料を人力でチェックして確認したほうが、理解度・安心感・ミスの少なさ・効率性、すべてにおいて優れています。

特に収支計画。

これはお金のことです。決まった後に拘束される、しかも収益という大事な尺度において。

これはぜったい負けられない。AIに任せてもどうせ、本気で確認する。

であれば、はじめから作っちゃったほうが安心感も案件理解度も絶対にいいんです。

まずは収支を作ってしまう。収支作るには人員配置やシフトも決める必要があり、その結果、いい感じの制約条件を作れます。

作成すべき「前提資料」

1. 収支計画書の骨格

  • 人件費の大枠(館長、学芸員、事務員、清掃員などの配置人数と給与)
  • 管理費の見積もり(光熱水費、修繕費など)
  • 事業費の予算配分
  • 基準価格の確認と、提案価格の設定(基準価格の95%程度)

2. 人員配置の基本方針

  • 何人、どのポジションに配置するか
  • 雇用形態(正社員、パート、委託など)
  • 必須人材(館長、防火責任者、学芸員など)の確保

3. シフト表の基本パターン

  • 開館時間に対応した勤務シフト
  • 繁忙期・閑散期の体制

4. 維持管理計画の具体的スケジュール

  • 日常清掃、定期清掃の頻度
  • 設備点検の時期

これらは、皆さんの経験と業界知識がフル活用される部分です。

これらの資料も全てPDF化して、NotebookLMにアップロードします。

AIを「超優秀な新入社員」として扱う

私は、AIをこう捉えています。

「超絶かしこくて、タイピングが爆速で、記憶力抜群の新入社員」

この新人は、資料を読み込んで分析することも、きれいな文章を書くことも、データを整理することも大得意です。

でも、「この施設の清掃スタッフは何人必要で、シフトはどう組むべきか」といった実務的な判断は、まだ一人ではできません。

だから、正しい使い方はこうです。


第4章:「獲得戦略」と「運営理念」を練り上げる

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ステップ1:獲得戦略をAIと一緒に考える

ここまで集めた全ての情報を統合して、獲得戦略を策定します。

プロンプト例:

あなたは、Big4コンサルティングファーム出身のPPP/PFIコンサルタントです。



対象案件:熊本県伝統工芸館の指定管理者公募

目的:既にAIにインプット・分析済みの全ての情報を最大限に活用し、審査基準の最上位評価を獲得するための、戦略的ポジショニング、具体的な事業計画、説得力のあるメッセージを一貫して構築すること。



 行政ニーズと課題の明確化
 現指定管理者との差異化ポイントの発見



 革新的な自主事業の提案と収支インパクトの試算
 効率化とリスク管理の担保



 提案全体を貫くキャッチフレーズの作成
 本気度を示すステートメントの作成

ここで作った獲得戦略は、PDFにして、AIに読み込ませましょう!

ステップ2:運営理念と運営方針を策定する

次に、運営理念と方針を考えます。

指定管理者実務が長い方はここでめっちゃ時間かかるの、わかりますよね。

コンサルを雇って書くときもここにすんごい時間をかけますよね。すべてはここから下りてくるから。

ここを決めるのに、行政のあらゆる課題や情報を収集して、もれなくだぶりなく理念と方針を考えて、いい感じの言葉で定義する。

これ、すごく時間かかりましたよね。

AIならこの作業が爆速で終わります。

これだけでもすごく価値があると私は思います。

みんなでさんざん議論してファシリテーターに頭のいいコンサル入れて、紡いだ言葉が「こんなんかよ!」みたいな経験を数多くしてきたので。

AIなら同レベルそれ以上のものを一瞬で無限に抽出してくれます。

プロンプト例:

あなたは、Big4コンサルティングファーム出身のビジョン構築専門コンサルタント兼、糸井重里ばりの人の心を動かすキャッチコピーをつくるのが得意なトップクリエイターです。



 対象案件:熊本県伝統工芸館
 目的:既にAIに記憶されたすべての関連情報を基に、施設の根本的な課題を解決し、審査基準の最上位評価を獲得するための、一貫性のある運営ビジョンを構築すること。



収集された全ての情報を統合し、3~5つの核心的な課題を簡潔に抽出してください。



全ての課題を包括的に解決し、施設の未来を提示する、簡潔かつ強力な「最上位の運営理念」を、キャッチーで記憶に残る一文で設定してください。

 運営理念の要件:
 公共性、事業性、革新性の3要素のバランス
 熊本県の地域特性を反映
 審査員が共感し、他の提案との差別化



3つ~5つの具体的かつ行動可能な「運営方針」を設定してください。

 運営方針の要件:
 各方針が少なくとも一つの核心的課題を解決
 組織運営、事業・サービス、財務・持続可能性の異なる側面にバランス良く焦点
 具体的な目標を内包する表現

で、作った経営理念と運営方針は、PDFにして、また、AIに学習させましょう!


第5章:事業計画書を章ごとに生成させる

文章のお作法をAIに学習させる

一気に書くのはNGです。

さすがにインプットとアウトプットする情報量があまりにも多いと精度が落ちます。

ここは章ごとに出力を依頼していきましょう。

2025年11月段階ですと、章ごとに区切るのがベストバランスかなと思います。

まず文章のお作法を定義します。

事業計画書における文章の作り方:

見出し階層は H1→H2→H3→H4 の順。スキップ禁止。
 各見出し直下に、短い説明文(体言止め禁止)を入れる。
 段落構成は「結論→理由→具体例(数値)」の順で。
 説明が3行以上になる箇所は箇条書きを使用(最大5項目)。
 各章の末尾に「経営理念と運営方針との整合性」を必ず記載する。


 「です・ます」調で統一。
 主語は「市民」「利用者」「市」「県」。自社名は控えめに。
 ポジティブ・能動表現を使用
 体言止め禁止。文末は必ず述語で終える。
 データや根拠を盛り込み、説得力を高める。
 「やさしさ」「安心感」「共創」「地域連携」といった理念語を随所に散りばめる。

こちらをAIに学習させておきましょう。

章ごとに出力を依頼する

プロンプト例:

【対象案件】熊本県伝統工芸館 指定管理者公募(2026年4月1日〜2031年3月31日)

 役割設定
あなたは世界的なコンサルティングファーム出身の伝説的なPFI/PPPコンサルタント&糸井重里ばりのコピーライターです。

 目的
熊本県伝統工芸館の指定管理者のコンペに勝利すること。特に、審査基準の最上位評価(効用最大化35点、安定運営35点、経費縮減20点)を獲得し、熊本県伝統工芸館を「過去の遺産から未来の投資へと転換するハイブリッド・イノベーション・ハブ」としての未来像を提示すること。

 読み手
審査員が最も重視する「伝統工芸産業の自立化・後継者育成」と「低稼働施設の戦略的収益化(効用最大化)」の解決策に焦点を当ててください。

 実行する作業
AIに記憶されたすべての関連情報に基づき、事業計画書を出力してください。
今回は第○○○章の(1)△△△と(2)■ ■ ■ について出力してください。


 「事業計画書の文章作法」に規定された構成ルールと表現ルールを厳格に遵守
 各章の末尾に「経営理念と運営方針との整合性」を必ず記載

 特記事項
 提案する委託料の総額は基準価格(5年総額386,812千円)を超過しないこと。基準価格の95%程度をターゲットとした財務計画を策定すること。

 後継者育成予算(単年度1,800,000円税抜)と伝統工芸品購入予算(単年度100,000円税抜)を確実に積算

 過去の評価で指摘された「ECサイトの促進やSNS等の活用」、「2階会議室の低稼働率(1.1%)」、「ウェルビーイングの向上」の解決策を具体的に提示

 
①文章のルールは(事業計画書の文章作法)を参照
②経営理念と運営方針は(施設管理の基本方針と三つの創造)を参照
③財務・人員配置の制約は(リソース・コンストレインツ戦略一覧)を参照
④連携すべき地域団体、政策は(ハイブリッド連携戦略)を参照

これを出力して、事業計画書への貼り付けを一気に最後までやってしまいます。

これをやるとだいたい1時間くらいで50000字レベルの事業計画書が完成します。


第6章:作成した事業計画書(テキスト版)を無料ダウンロード

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3時間半で完成した事業計画書を公開

公募情報のチェックから事業計画書(テキスト版)の完成まで、3時間半でした。

私はちょっと考えながら、のんびりやっていたので、この時間がかかりました。でも、もっとシステマティックにやったら、2時間くらいで完成すると思います。

テキストオンリーとはいえ、このスピード感、恐ろしくないですか?

従来なら、資料を読み込むだけで数日。提案のコンセプトを練るのに数日。文章を書いて推敲するのに数日。合計で1〜2週間はかかっていた作業が、半日以下で終わるんです。

これが、私が数日徹夜して書き上げた、あの提案書と同じクオリティの文章です。

でも、今回は徹夜していません。AIが相棒になってくれたからです。

実際の事業計画書をダウンロードできます

言葉だけでは信じられないかもしれません。

だから、このステップで作った事業計画書(テキストオンリー版)を、こちらのページの下でダウンロードできるようにしておきます。

ぜひ、実際に中身を確認してみてください。

  • 論理構造がしっかりしているか
  • 具体的な数値や事例が入っているか
  • 行政の課題に応える内容になっているか
  • 読みやすく、説得力があるか

これらを、ご自身の目で確かめていただければと思います。

そして、「ああ、これなら自分にもできそうだ」と感じてもらえたら嬉しいです。

そして、次の公募に、出してみてください。

これは「たたき台」です

ただし、誤解しないでください。

このテキスト版は、あくまで**「たたき台」**です。

ここから、以下の作業が必要になります:

  • 体裁を整えて、見やすいレイアウトにする
  • 図表やグラフを追加する
  • 収支計画書などの数値資料を添付する
  • 全体を通して読み、整合性を最終チェックする

でも、これらの作業も、AIの力を借りれば大幅に効率化できます。

その方法については、次回以降の記事で詳しくお話しします。


まとめ:指定管理者の提案書作成でAIを活用する完全手順

情報収集フェーズ(7ステップ)

  1. NotebookLMに基礎資料をアップロード(募集要項、仕様書など)
  2. Gemini Deep Researchで自治体分析
  3. 施設の歴史と現状を徹底分析
  4. 現指定管理者の戦略を解剖
  5. 市民の声・SNS分析
  6. 非公式情報のサマリー化
  7. 自社情報のアップロード

制約条件設定フェーズ(人間の仕事)

  1. 収支計画、人員配置、シフトを人力で作成してアップロード

戦略策定フェーズ

  1. 獲得戦略をAIと一緒に練る
  2. 運営理念と運営方針を策定

出力フェーズ

  1. 文章のお作法をAIに学習させる
  2. 章ごとに順番に事業計画書を生成させる

この手順なら、3時間半で事業計画書のテキスト版が完成します。


おわりに──「出す」ことが、すべての始まり

もう一度、あの日の話をさせてください

私が数日徹夜して書き上げた提案書。

上司は「どうせ勝てない」と言いました。

でも、私は出しました。

そして、年額二桁億円の案件を獲得しました。

これは、ラッキーじゃありません。

出したから、勝てたんです。

提案書を出さなければ、何も起きません。

でも、出せば、何かが起きる。

それが指定管理業界です。

AIがあれば、「出す」ためのハードルが劇的に下がります。

もう、徹夜する必要はありません。

もう、「リソースがない」と諦める必要はありません。

もう、「勝てそうにない」と最初から降りる必要はありません。

3時間半あれば、提案書が書けるんです。

あなたに伝えたいこと

この記事を読んでいるあなたは、きっと今、公募情報を見ながら、「出すべきか、出さざるべきか」悩んでいるのではないでしょうか。

出してください。

勝てそうにない案件でも、出してください。

AIを使えば、3時間半で戦える提案書が作れます。

そして、その提案書を出すことで、何かが起きます。

もしかしたら、現指定管理者に対する行政の不満が、あなたの提案で解決されるかもしれません。

もしかしたら、誰も気づいていなかった施設活用のアイデアが、審査員の心を動かすかもしれません。

もしかしたら、あなたの会社に、年額二桁億円の売り上げが生まれるかもしれません。

でも、出さなければ、何も起きません。

だから、出してください。

AIという相棒がいます。

もう、孤独な戦いではありません。

さあ、次の公募に、自信を持って挑んでいきましょう。

ではまた!

指定管理者制度AI編集長 ヤマザキ


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ヤマザキ君
指定管理者制度AI 編集長:ヤマザキ
提案書作成のコツから採択事例の分析、効率的な資料作成方法まで、実践的な情報を発信中。
指定管理者制度に携わる皆様の業務効率化と採択率向上をサポートする記事をお届けしています。

ヤマザキは2004年から大学で指定管理者制度を研究し、
2010年からの10年間は、指定管理/PFI/PPPのコンペや運営現場の最前線に立ち続けてきました。
その後はスタートアップとの協業や出資、ハッカソンも数多く主催。「現場」と「未来」双方の知見を活かした情報発信を行っています。

その経験をもとにした本サービス「指定管理者制度AI」では、実際にAIを活用した提案書・企画書作成サービスを展開。 豊富な採択事例データベースと高度な自然言語処理技術により、要点整理から文書構成の最適化まで包括的にサポートします。
自治体要件の読み取り、競合分析、予算計画の策定など、指定管理者応募に必要な業務を効率化し、 質の高い提案資料を短時間で作成できる専門AIツールを提供しています。