
【AIで実験】船橋市総合体育館及び船橋市武道センターの指定管理者事業計画書(5万字)を3時間で書き上げた話 - Claude活用の全記録
夏の徹夜地獄からの解放を目指して、AIで指定管理者事業計画書を書けるか実験してみました。船橋市総合体育館・武道センターの実際の募集案件を使い、Claude Sonnet 4で挑戦した結果、なんと3時間で63ページ・5万字の本格的な事業計画書が完成!通常1〜3ヶ月かかる作業が劇的に短縮されました。プロンプト戦略から執筆プロセス、コスト比較まで全て公開。ただし、後のファクトチェックで重要な修正点も発覚...。AIの可能性と限界を赤裸々に記録した実験レポートの第一弾です。実際の計画書もダウンロード可能!
公開日2025/07/22
更新日2025/07/24
目次
はじめに - 夏の徹夜地獄からの解放を目指して
「夏が来るたびに、事業計画書づくりで徹夜する日々をおさらばしたい!!」
そう思ったことはありませんか?
指定管理者の応募時期って、だいたい夏〜秋にかけて集中しますよね。募集要項が出てから締切まで1〜2ヶ月。その間に50ページくらいの事業計画書を書き上げなければならない。
- 深夜のオフィスで、脳から言葉を紡ぎ出す日々
- 「まだページが埋まらない...」という絶望感
- 締切3日前の「間に合わない!」パニック
そんな業界あるあるに終止符を打ちたい! そんな思いで今回の実験をしてみました。
船橋市総合体育館・武道センターの指定管理者募集を題材に、「これ、最新AIで書けないかな?」という知的好奇心を満たしたくなったのが始まりでした。
結果から言うと、Claude(AI)を使って約5万字の事業計画書を3時間で書き上げることに成功しました。しかも、第一稿としては、かなり本格的なクオリティで。
📥 DL可能!AIが3時間で作り上げた約50,000字の事業計画書(お化粧前)
実験概要
今回チャレンジしたのは、船橋市が実際に募集していた指定管理者案件です。
- 対象:船橋市総合体育館及び船橋市武道センター指定管理者公募
- 制約:60ページ以内(実際は63ページになってしまいました!)— 一般的な事業計画書としてはかなりのボリューム
- 文字数:約50,000字 — 書籍1冊分に相当する分量
- 所要時間:3時間(プロンプト設計30分 + 執筆2.5時間)— 通常なら1〜3ヶ月かかる作業
- 使用AI:Claude Sonnet 4 — Anthropic社の最新AI
- コスト:Claude Pro月額料金のみ — コンサル依頼なら数百万円レベル
事前準備:最強のプロンプトテンプレート作成(30分)
まず、指定管理者事業計画書専用のプロンプトテンプレートを作成しました。これが今回の成功の鍵でした。
プロンプトのポイント
効果的な事業計画書を生成するために、以下の要素を重視してプロンプトを設計しました。
-
明確な目的設定
- 「審査員に高く評価される品質」を明示 — 単なる文字埋めではなく、実際に選ばれるレベルを目標に
- 「AIでここまでできるのか」と驚かれるレベルを目標設定 — 技術的な挑戦としての意味も込めて
-
構造化された指示
- 見出し階層(■章、○中項目、・説明文)— 読みやすさと論理性を両立
- 段落構造(結論→理由→具体例)— ビジネス文書として説得力のある構成
- 文体・表現ルールの詳細化 — 一貫した品質を保つための仕組み
-
審査基準への対応
- 募集要項の評価項目を全て網羅 — 抜け漏れによる減点を回避
- MECE(もれなく・かぶりなく)な内容構成 — 論理的な整合性を確保
- 数値目標とKPI設定 — 具体性と実現可能性をアピール
この結果を生み出した秘密のプロンプトテンプレート、後日まるっと公開予定です。
執筆プロセス:章立てで順次作成(2.5時間)
Phase 1: 基本方針・理念の構築(30分)
- 「すべての市民のベストを引き出す、船橋の拠点」というキャッチフレーズを設定
- 6つのアプローチで全体を貫く理念を構築
- 船橋市の課題と解決策を具体的に記述
Phase 2: 事業運営計画の詳細化(60分)
- 管理体制から利用促進まで7つの大項目を作成
- 各項目で具体的な数値目標とKPIを設定
- 自主事業では収支まで詳細に計算
Phase 3: 維持管理・収支計画(60分)
- 専門性を要する維持管理体制を詳細に記述
- 3年間の収支計画を現実的な数値で作成
- リスク管理とPDCAサイクルまで網羅
Phase 4: その他計画・団体評価(20分)
- モニタリング、安全対策、個人情報保護等を網羅
- 運営実績・事業遂行能力(※架空として明記)
完成した事業計画書の特徴
想像以上のクオリティに仕上がった今回の成果物。その特徴を詳しく見てみましょう。
圧倒的なボリューム
- 総ページ数:63ページ — 募集要項の60ページ制限をわずかに超過
- 文字数:約50,000字 — 一般的な新書1冊分の文量
- 構成:6大項目、40以上の中項目 — 網羅的かつ体系的な構成
高い専門性
実際に業界経験者が書いたかのような専門性の高さが印象的でした。
- 指定管理者制度の理解度 — 法的要件から実務レベルまで正確に記述
- 施設特性を活かした具体的提案 — 単なる一般論ではない、施設固有の戦略
- 法令遵守と実務レベルの詳細記述 — コンプライアンス要件まで網羅
具体的な数値計画
抽象論に終わらない、実践的な計画として評価できる内容でした。
- 3年間の詳細収支計画 — 収入・支出の根拠まで明記
- 利用者数・満足度等のKPI設定 — 測定可能な目標の設定
- 人員配置から研修計画まで — 運営体制の具体化
地域密着性
全国どこでも使えるテンプレートではなく、船橋市特有の提案となっていました。
- 船橋市の特性・課題への的確な対応 — 地域理解の深さを感じさせる内容
- 地域団体との連携プログラム — 「ならだいスポーツクラブあまなつ」等の具体的な団体名
- 千葉ジェッツとの協働(※後に要修正と判明) — 地域資源の活用提案
驚きの結果:プロレベルの完成度
正直、完成した事業計画書を見て自分でも驚きました。以下のような特徴がありました:
✅ 良かった点
-
論理的な構成
- MECE原則に従った章立て
- 理念から具体策まで一貫した流れ
-
具体性の高さ
- 抽象論ではなく実施可能な具体策
- 数値目標と根拠の明示
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専門用語の適切な使用
- 指定管理者特有の用語を正確に使用
- 関連法令への適切な言及
-
地域特性の理解
- 船橋市の現状と課題を的確に把握
- 地域資源を活かした提案
⚠️ 課題も見つかった
後のファクトチェックで判明したのですが、いくつか重要な事実誤認がありました:
- プロスポーツチームの本拠地移転時期の誤解
- 現在の施設利用状況の認識ズレ
- 収支計画の前提条件の見直し必要性
使用したプロンプト戦略
1. 段階的な情報提供
1. 募集要項の詳細分析
2. 施設概要と制約条件
3. 評価基準と審査ポイント
4. 地域特性と課題
2. 品質管理の仕組み
- 各章の冒頭に「この章でわかること」を記載
- 数値目標は必ず根拠とセット
- 専門用語は初出時に説明
- 文体・表現の統一ルール
3. 差別化要素の盛り込み
- AI・デジタル技術の積極活用
- 地域密着型の具体的連携
- 予防保全型の維持管理
- 包括的なリスク管理
コスト・時間対効果
従来の方法との比較
驚くべきコストパフォーマンスが実現できました。
- 人的コスト:コンサル依頼なら100-500万円程度 — 専門コンサルタントに依頼した場合の相場
- 時間コスト:通常1-3ヶ月の作業期間 — 調査・執筆・修正を含めた一般的な期間
- 今回の実績:Claude Pro月額料金 + 3時間 — 圧倒的な効率化を実現
ROI(投資対効果)
数字だけ見れば圧倒的にAI活用が有利。ただし、以下の条件が重要:
- 適切なプロンプト設計能力 — AI活用の成否を決める最重要スキル
- 基礎的な業界知識 — 完全な素人では適切な指示を出せない
- ファクトチェック・修正能力 — AIの出力を適切に評価・修正するスキル
事業計画書ダウンロード
📥 DL可能!AIが3時間で作り上げた約50,000字の事業計画書(お化粧前)
実際に作成した生の事業計画書を無料公開中!
- 形式:PDF, 63ページ
- 内容:完全版(ファクトチェック前)
- 用途:参考資料・研究目的での利用OK
※実際の申請での使用は推奨しません。必ず内容の精査・修正を行ってください。
今後の展開:完全版への道のり
この3時間で作成した事業計画書は、あくまで「ドラフト版」です。 今後、以下のステップで完全版に仕上げていく予定です:
Phase 1: ファクトチェック・事実確認 ✅
- インターネット検索による事実確認
- 募集要項との整合性チェック
- 現状認識の修正
Phase 2: 内容の精査・ブラッシュアップ(次回予定)
- 論理構成の見直し
- 数値根拠の強化
- 専門性の向上
Phase 3: 図表・デザインの追加(予定)
- 視覚的な図表作成
- レイアウトデザイン
- プレゼンテーション資料化
Phase 4: 最終チェック・完成版(予定)
- 専門家レビュー
- 最終的なブラッシュアップ
- 完全版として公開
まとめ:AIで事業計画書は書けるのか?
結論:YES、ただし条件付き
今回の実験で、AIは確実に事業計画書作成の強力なツールになることが証明されました。
成功の条件
- 適切なプロンプト設計
- 基礎的な業界・制度理解
- 徹底したファクトチェック
- 人間による最終判断
AIの得意なこと
今回の実験で確認できたAIの強みです。
- 論理的な文章構成 — 筋道立てた説得力のある文章作成
- 大量の情報の整理・体系化 — 複雑な要件を漏れなく整理
- 専門用語の適切な使用 — 業界用語を正確に使い分け
- 一貫した品質での大量執筆 — 最初から最後まで品質を維持
人間が必要なこと
一方で、人間の判断が不可欠な領域も明確になりました。
- 事実確認とファクトチェック — AIは最新情報や事実関係を間違えることがある
- 戦略的な判断と優先順位付け — 何を重視すべきかの判断
- 地域特性の深い理解 — 数値では表せない地域の「空気感」
- 最終的な品質管理 — プロとしての責任ある判断
次回予告
今回の船橋市総合体育館及び船橋市武道センター指定管理者公募を含めて、これまで数多くの指定管理者計画書をAIで作成してきました。 これまでの実験で得た学びを、これからどんどん発信していきます。
ぜひブックマーク・フォローして続きをお待ちください!
📝 プロンプトテンプレート配布予定
今回使用したプロンプトテンプレートも、後日配布予定です。指定管理者事業計画書以外の日報や年度報告書作成にも応用可能な汎用性の高いテンプレートとして公開します。
*ぜひ、ひきつづき、チェックをお願いします🙏
今回は以上です。ヤマザキでした。またのお越しをお待ちしております。

指定管理者制度に携わる皆様の業務効率化と採択率向上をサポートする記事をお届けしています。
ヤマザキは2004年から大学で指定管理者制度を研究し、
2010年からの10年間は、指定管理/PFI/PPPのコンペや運営現場の最前線に立ち続けてきました。
その後はスタートアップとの協業や出資、ハッカソンも数多く主催。「現場」と「未来」双方の知見を活かした情報発信を行っています。
その経験をもとにした本サービス「指定管理者制度AI」では、実際にAIを活用した提案書・企画書作成サービスを展開。 豊富な採択事例データベースと高度な自然言語処理技術により、要点整理から文書構成の最適化まで包括的にサポートします。
自治体要件の読み取り、競合分析、予算計画の策定など、指定管理者応募に必要な業務を効率化し、 質の高い提案資料を短時間で作成できる専門AIツールを提供しています。